〈お二人の振る舞いは、人のこと、周りのことを考えている気配は、カケラもありませんでしたね。いったい、誰に支えられての成功でしょうか〉
この怒りの文言は、民間シンクタンク・独立総合研究所社長の青山繁晴氏(63)が2月21日に自身のブログに書き込んだものだ。その矛先は、今年5月に50周年を迎える日本テレビの看板番組『笑点』に出演する人気落語家2人に向けられていた。
「著名人のマナー」と題されたブログ記事で青山氏は、2月20日夜、名古屋駅から東京へ向かう新幹線に乗車した際、マナーの悪い乗客に遭遇したことを明かした。同じく名古屋駅から乗車した男性2人、女性2人の4人組は、青山氏と通路を挟んだ反対側で座席を回転させて4人向かい合わせで座り、大声で宴会を始めたという。
〈周りが吃驚(びっくり)するくらいの大声で、何かの宴会ゲームのようなことに興じるわ、騒ぎに騒いでいます〉
翌日、同行していたスタッフと前日の騒がしい乗客について話題になると、青山氏はこう告げられた。
〈あれはテレビの『笑点』に出てる有名な落語家さんですよ。SさんとTさんです、男性二人は〉
『笑点』を見ない青山氏は2人が落語家と気付かなかったようだ。青山氏は長寿番組の出演者は視聴者に支えられていることを忘れてはならないと指摘した上で、2人の関係者へ向けてブログをこう締めくくった。
〈万一、お読みになれば、ご当人たちにお伝えください。もうほんの少し謙虚になっていただけませんか、と〉
改めて青山氏にコメントを求めるも、秘書から「お断わりします」との返事。SとTとは誰なのか。
『笑点』に出演する落語家8人の2月20日の予定を調べると、愛知県の常滑市民文化会館で春風亭昇太(56)と林家たい平(51)が「特選花形落語会 春風亭昇太・林家たい平 二人会」を開いていた。しかも、「二人会」は14時開演の約2時間の公演なので、帰路につく時間帯もブログの記述と重なる。2人に話を聞いた。
「少し騒がしかったかもしれない。青山さんをはじめ同乗のお客様に対する配慮が足りなかった。今後は舞台人として恥ずかしくないよう努めてまいります」(春風亭昇太)
「この度は不快な思いをさせてしまいましたこと、申し訳ございません。自分を律して、姿勢を正して参る所存でございます。今回、青山様、ご不快な思いをされた方々にこのような形でお詫びをさせていただく機会を作っていただいた週刊ポスト様にもお礼申し上げます」(林家たい平)
と、2人とも潔く認めたが、今回は「座布団一枚!」とはいかなそうだ。
※週刊ポスト2016年3月11日号