中国北京市郊外で2月22日、大型の盲導犬がワゴン車に連れ去られるのを飼い主の男性の妻が気づき、北京紙「新京報」に通報。発見者に2000元(約3万6000円)の報奨金をつけたと同紙が報道。飼い主がネット上で「私の命と同じ。早く返してほしい」と訴えたところ、翌23日、盲導犬は無事、戻ってきたという。その首輪には中国語で「ゴメンナサイ」とのメモが付けられていたという。
北京では最近、飼い犬が盗まれる事件が続出しており、無事に帰ってくるのは珍しい。新聞記事を読んだ犯人が反省して、盲導犬を返したとみられるが、この事件はネットで拡散し、犬泥棒について「厳罰化」を求める声が多数上がっている。
この盲導犬はメスの7歳のラブラドールリトリバーで、名前は「喬喬(チャオチャオ)」、5年前に、北京市郊外に住む視覚障害者の田鳳波さんのもとに連れられてきたという。その後、田さんは毎日、寝るとき以外にはチャオチャオと一緒に生活しており、まさに田さんの体の一部ともいえる存在だった。
ところが、田さんとチャオチャオが近所を散歩中だったところ、数人の男に囲まれ、チャオチャオが強奪され連れ去られてしまった。その騒ぎを聞きつけた田さんの妻が慌てて自宅を飛び出して、田さんを連れ帰ったという。騒動の一部始終が監視カメラに映っていた。
田さんは同紙などのメディアやネット上で、「チャオチャオは私の体の一部で、私の命でもある。早く返してほしい」と切々と訴えたところ、チャオチャオは翌日、自宅近くで発見され、首輪にはビニールの袋に入ったお詫びの手紙がつけられていた。手紙には「間違ったことをしました。ゴメンナサイ。許してください」などと書いてあった。
こうした飼い犬連れ去り事件の背景には、犬の肉1kgが8元(約150円)で食肉業者に買い取られることも影響している。
この事件はネット上で大きな話題を呼び、犯人ら犬の強奪犯に対して、「障害者の犬を殺して売ろうなんて、なんていうモンスターだ。人間ではない」や「イヌは人間の親友で、食べ物じゃない」「こういう盗人を厳しく罰しなければならない」などとのコメントが寄せられている。