「サラリーマン川柳コンクール」の入選作品100句が2月17日に公開された。仕事上の不満や家庭内での嘆きを、哀愁漂う笑いに変え続けて今年で29回目。全国から3万9551句の応募があり、投票を経て5月にベスト10が決定する。
「サラリーマン川柳には当たり年があります。話題が多い年は面白いことが多い」(川柳作家・やすみりえ氏)というように、今年の作品は粒ぞろい。サラリーマン川柳らしい題材といえば、職場の人間関係をテーマにした句だ。まずは上司の困惑が滲み出る句から。
【部下の言う 『課長やばい』は褒め言葉】(無粋上司)
ちなみにこの場合の「やばい」は「仕事ができる」「理解がある」といった「すごい」に近い意味。一方で、本来の意味で「やばい」上司はこう揶揄される。
【課長また アレアレ詐欺のような指示】(笑司)
「アレをアレしとけ!」なんて指示をしていませんか。歳を重ねると、どうしても言葉が出てこなくなるものですが……。「倍返し」など、2年前は銀行を舞台にしたドラマ『半沢直樹』(TBS系)に関係する言葉を絡めた句が多かったが、今年は阿部寛主演で下町の工場を舞台にした『下町ロケット』(TBS系)に関係する句が目立った。どちらも高視聴率を叩き出した大人気番組である。
【下町が 見せた日本の底力】(ふうたん)
【銀行と ロケットをみて憂さ晴らす】(トミー)
サラリーマン川柳は会社内や家庭での不遇に対する悲哀を、流行語に乗せてしたためた句が多い。遡れば「川柳は江戸時代から憂さ晴らしとしても詠まれていた」(川柳作家・杉山昌善氏)という。
※週刊ポスト2016年3月11日号