NHKの大河ドラマ『真田丸』で、主人公・真田信繁(堺雅人)の父親・真田昌幸を演じる草刈正雄(63才)。高視聴率の立役者ともいわれる草刈に話を聞いた。
「大河ドラマをやっていると、体力の重要さを感じるんですよ。とにかく、倒れちゃいかん、と。自分の不摂生が番組全体に大きな影響を与えてしまいますからね。ジムで体を作ることもそうだし、この冬はかつてないくらい一生懸命に手洗いとうがいをしましたよ。絶対にインフルエンザになったらダメだと思って(笑い)」
大河ドラマ『真田丸』では、信繁役の父・昌幸として抜群の存在感を見せる草刈は、かつて『真田太平記』(NHK、1985年~1986年)で信繁役を演じている。
「まさか30年後に自分が昌幸役をやるなんて、驚きましたね。オファーを受けて、大喜びでお受けしたんですけど、『真田太平記』のときに丹波哲郎さんが演じた昌幸のイメージが強烈すぎて、自分の昌幸をどうやるか正直言って悩みましたね」
しかし、三谷幸喜(54才)の脚本を読んで迷いが消えた。
「これはまったくの三谷ワールドだ、と思って。三谷さんは役者1人1人のことを本当によくわかっていらして、すんなりと役に入っていけました」
新しい脚本が届くのが楽しみで仕方がないと言い、
「毎回、読んでいてクスッと笑っちゃうところがある。史実として展開はわかっているはずなのに、どうなる!? と思わせるところがさすがですね」
と、べた褒め。いつもなら覚えるのが苦になる長台詞も、楽しみながら覚えられるという。
1人の人物を一年かけて演じることには、
「役者としてこんなに幸せなことはないですよ。物語が進むにつれて昌幸も年齢を重ねていくわけですが、今自分が何才の昌幸を演じているのかはあまり考えませんね。ぼくはその瞬間に感じたようにやるタイプ。昌幸も直感で動いているようなところがあるので、似てるのかもしれないね」
20代は甘いルックスのハーフモデルとしてハンサムの代名詞となり、俳優に転身後はダンディーな二枚目からコメディーまで幅広い役柄を演じてきた。
「俳優という仕事で、本当にやりたい役をいただけるのは10年に1本あるかどうか。ぼくの場合は、40年の俳優人生でやっと出会ったと思えるくらい、この真田昌幸という役にのめり込んでいます。もしもみなさんが魅力的だと思ってくださるのだとしたら、それはぼく自身が心からこの作品を愛しているという気持ちが、テレビ画面を通して伝わっているからじゃないかと思いますね」
撮影■藤本和典
※女性セブン2016年3月31・4月7日号