今年8月に開幕するリオ五輪、そして2020年の東京五輪を見据えて大型テレビへの買い替えを計画している家庭は多いだろう。そんな機運も反映してか、国内のテレビ出荷台数はじわじわと伸びている。売れ筋の主役は「4Kテレビ」だ。
2Kと呼ばれる現行のフルハイビジョン(HD)の4倍の画素数を持ち、大画面でもキメ細かい映像が見られることが特徴の4Kテレビ。JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)によれば、直近2月の4Kテレビの出荷台数は前年比260%を超える7.8万台を記録し、2011年以降の累計は100万台を突破したという。
「4Kテレビが出たばかりの頃は価格も高かったために、ほとんど売れませんでしたが、最近はソニー、パナソニック、東芝、シャープから画面サイズが多様で、フルハイビジョンと変わらぬ価格帯の製品もたくさん発売されているので、主流は4Kに移行しつつあります。
もっとも、50インチ以上の大型テレビはフルハイビジョンよりも4K対応テレビのラインアップのほうが多く、『画面がキレイで安いなら…』と、あまり4K放送のシステムを知らないまま購入する消費者も多い」(大手家電量販店の店員)
この量販店では、50~65インチの巨大4Kテレビは30~50万円と“即決”できる金額ではないが、40インチ前半なら20万円を切る製品もある。以前に比べれば遥かに手の届きやすい価格帯になったのは確か。
だが、当サイトでも度々報じているように、現状で4Kテレビを購入しても多くの人が日常的に視聴している「地上デジタル放送」の番組がいきなり“超高画質”になるわけではない。
放送の送り手側が4Kに対応したカメラや編集機材でコンテンツ(番組)を制作しない限り、所詮はテレビの性能を高画質に近づけた“4Kもどき”の映像でしかない。そもそも地上波は周波数帯に空きがないため、現行の地上デジタル放送をそのまま「4Kチャンネル」にする計画はない。
では、4Kのコンテンツ、高画質を存分に味わうにはどうしたらいいのか。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が解説する。
「スカパーJSAT(CS放送)の4K専門チャンネルに加入して、観たい映画やスポーツなどを1番組ごとに料金を払って視聴する方法や、昨年末から放送を開始したケーブルテレビ(CATV)共通の4K専門チャンネルでは各地のケーブル局が制作した自然・旅番組などを無料で視聴することもできます。
また、NTTぷららの『ひかりTV』をはじめ、アクトビラやネットフリックスなどがサービスを提供している4Kの映像配信サービスは、対応テレビをインターネットに繋ぐだけで好きなときに好きな4K番組が観られるVOD(ビデオ・オン・デマンド)方式として、コンテンツの数も飛躍的に増えています」(安蔵氏)
その他、最近は4K対応のブルーレイプレーヤーも登場しているため、セットで購入すればパッケージ化された4Kのハリウッド映画なども楽しめる。
しかし、いまだに「テレビは無料が当たり前。CS有料放送やVODサービスには興味がない」という視聴者も多い日本において、4K放送は本当に広がっていくのか。