目玉企画となるはずだった有名作家の連載が白紙化。非常事態を前に、彼女は宙を仰いで嘆息する。「ん~。どうしたもんじゃろのぉ…」──。第一話の放送開始わずか1分。画面に映し出される女性編集長は、すでに一片の違和感もない。圧倒的な女優の力量がそこにある。
4月4日、高畑充希(24才)がヒロインを演じるNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が始まった。戦後日本を代表する婦人誌『暮しの手帖』の創刊者の半生を描く同作は、平均視聴率23.5%を記録した『あさが来た』の勢いそのままに、早くも話題となっている。
「昭和初期をたくましく生きたヒロインのイメージ像を完璧に表現する充希さんの演技に、スタッフも感動しています。撮影現場での彼女は、母親役の木村多江さん(45才)や子役たちとふざけあって、毎日和気あいあいといった感じ。父親役の西島秀俊さん(45才)は結核ですぐに亡くなってしまう役なので充希さんとの共演はないのですが、撮影セット内に遺影を置いて、家族役のみんなでいっぱい話しかけています。本当に温かい現場です」(NHK関係者)
“朝ドラ”のヒロインといえば長くスターへの登竜門とされてきたが、高畑の場合はすでに貫禄充分。女優歴は10年に及び、昨年の出演作を見ると、『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(同)、『煙霞』(WOWOW系)といった連ドラに加え、映画や舞台にCMと、もはや見ない日がないほど。
今回の朝ドラヒロイン役で国民的女優の地位を不動にした高畑の素顔を探るため、女性セブンは西に飛んだ。
高畑は1991年12月、大阪府東大阪市で生まれた。府内第3の人口を誇るベッドタウンであり、中小企業の密集した関西有数の「ものづくりの町」でもある。水運に恵まれたことで古くから工業が発達し、2009年に打ち上げられた民間初の人工衛星『まいど1号』もこの地で作られた。
高畑の実家も代々の会社経営者だった。椅子に使用されるスプリングや弾性材のメーカーで、2015年度の年商は12億円。創業70年を迎え、国内外に支社を持つ堅実な企業である。起業したのは高畑の祖父で、彼は地元でも名の知られた大地主だった。