国際情報

膨大なパナマ文書 解析終了は5月上旬、企業・個人名発表か

国際調査報道ジャーナリスト連合が報じたパナマ文書

 スーパーで買い物したら消費税がかかる。車に給油したらガソリン税がかかる。夫の給料からは毎月、所得税や住民税が天引きされているし、親が亡くなったときにまとまった資産があれば、相続税がかかる──何をするにも税金ばかりとられて溜め息がでる。

 ところが、お金持ちたちは庶民には考えもつかないような方法で税金逃れをしていた。その実態を明らかにしたのが「パナマ文書」だ。今、世界中で大混乱が起きている。

 ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席などの各国首脳周辺から、ジャッキー・チェン(62才)やサッカー選手のリオネル・メッシ(28才)までもが、自国に税金を払っていないとされて大慌て。アイスランドの首相は辞任に追い込まれた。

 中米にパナマという国がある。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の境にある海運の要衝で、北海道より少し小さいくらいの小国だ。実はこの国、「税金がかからない国=タックスヘイブン」として知られている。

 たとえば、企業が利益を上げたら普通、その国で税金を払うことになるが、パナマにペーパーカンパニーをつくってそこで儲けたことにすれば、税金を逃れられる。また、大富豪も自国ではなくパナマに資産を置いておけば、贈与税や相続税がかからないで済む。

 そこで、世界のお金持ちたちはこぞってパナマや英領バージン諸島、ケイマン諸島などのタックスヘイブンにお金を移してきた。

「タックスヘイブンのもう1つの特徴は、誰がそこにペーパーカンパニーをつくったのかわからないことです。だから、誰にも知られずにコッソリと節税ができました。ところが昨年、誰がどのようにタックスヘイブンにお金を移したのかが記された秘密文書が1150万件も流出しました。その一連の文書のことを、『パナマ文書』と呼んでいます」(経済事件に詳しいジャーナリストの高橋篤史さん)

 その中には日本企業や日本人の名前も記されていた。たとえば、ある企業の創業者は、700億円相当の価値があった株をタックスヘイブンの会社で管理し、将来家族に株を譲る際に贈与税や相続税を「節税」しようとしたと報じられている。仮に今の税率で考えると、タックスヘイブンを使わないで贈与・相続した場合、約385億円の税金がかかる計算だ。

「膨大な量の文書のため、世界中のジャーナリスト400人がチームを組んで分析していますが、パナマ文書はまだすべて解明されていません。5月上旬にすべての企業・個人名が発表される予定なので、タックスヘイブンを利用していた日本の企業・個人も戦々恐々でしょう」(高橋さん)

 庶民はせっせと税金を払っているのに、一部の金持ちだけが税を逃れて高笑い──それってズルくないですか?

※女性セブン2016年4月28日号

関連記事

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン