大企業で相次ぐ「お家騒動」や、新興企業の相次ぐ不振は、目まぐるしく変わる経済環境の中で企業という組織がいかに脆弱かを認識させる契機となった。そこで改めて注目を集めているのが「財閥」だ。古くから日本経済を支えてきた信頼感と強大な組織力が見直され、雑誌でも大々的に特集が組まれている。
その中で突出した力を持つのが、「三菱」「三井」「住友」の各財閥を祖とする3大グループである。
その規模と影響力は数字を見れば明らかだ。3大グループの主要企業が集まるそれぞれの「社長会」に加盟する企業の純利益を合計すると約6兆4561億円。これは、大企業(資本金10億円以上)の純利益全体の18.96%を占める。実に、日本経済の2割の利益を3大グループが生み出している。
「社長会」加盟企業の数は三菱グループが29社、三井グループが26社、住友グループが19社だ。
各企業別に見ても、3大グループに属する18社が純利益ランキングの上位100社にランクイン。ちなみに1位のトヨタは、戦後の経営危機を三井に助けられ、豊田家と三井家も縁戚関係にあることから三井の社長会(二木会)にオブザーバーとして参加している。
トップ100には入らないものの、繊維の東レ(三井)、パルプ・紙の王子ホールディングス(三井)、石油のJXホールディングス(三菱)など、各業種の売上高トップ企業も軒並み3大グループの企業だ。
各財閥の発言力はグループ内に止まらず、経済界全体に波及している。財界の意思決定機関ともいえる経団連では、会長の榊原定征・東レ相談役最高顧問(三井)をはじめ、会長・副会長計15人のうち、9人が3大グループ企業から選出されている。経済ジャーナリストの福田俊之氏がいう。
「3大グループはいまなお圧倒的なスケールを誇る。グループ内の横のつながりもあり、その影響力は計り知れない。現在も財閥系企業が日本経済を支えている」
※週刊ポスト2016年5月6・13日号