ゴールデンウイークは絶好の行楽チャンス。目的地までの交通手段として自動車を選ぶ人は多いだろう。そんな人たちのいちばんの悩みの種が「渋滞」だ。いったん遭ってしまうと、目的地で遊ぶ時間より、車中の滞在時間の方が長かった…なんていう悲劇も起こり得る。
そもそも渋滞はなぜ起こるのだろう。渋滞博士として知られる東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が解説する。
「ブレーキの連鎖で渋滞は起こります。1台がブレーキを踏むと、その後続車がブレーキを踏み、さらにその後ろの車が…それが渋滞の原因です」
高速道路で渋滞が起こりやすい、つまりブレーキを踏みやすい箇所は3つあるという。
【上り坂】
NEXCO東日本の調査によると、上り坂とサグ部(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)が渋滞の原因の約6割を占めている。
「高速道路には、運転手が気づかないような緩やかな上り坂が多い。その場合、アクセルを踏み込まずに平坦な道路と同じように運転するので、速度が遅くなります。すると後続車は、『前の車が遅くなった』と、減速しようとしてブレーキを踏みます。そして渋滞の連鎖が起こります」(西成さん)
【合流地点】
「車線が減少するところでは、無理な車線変更などで、なかなか合流がうまくいかず渋滞が起きやすいのです」(西成さん)
この時も、走行車線の車がブレーキを踏んで、さらにその後続車も踏んで連鎖していくのだ。
【トンネル】
「暗いトンネルに入るとき、ドライバーは無意識のうちに恐怖心などからブレーキを踏みます」(西成さん)
上り坂と合流地点と同様に、先頭車がトンネルに入る前にブレーキを踏んで速度が低下すると、後続車がブレーキを踏み、さらにその後続車も踏んで連鎖していく。この3つ全ての要素を持っているのが小仏トンネル(中央道)。 “渋滞の名所”として知られている。
※女性セブン2016年5月12・19日号