「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログが話題になった。市民の声が政治の力を動かす象徴になっている。実際に、党派や会派の壁があっても、議員に直接頼めば、超党派のネットワークで問題が解決することもある。
過去には女性議員の議員立法で成立した法律がある。2001年に施行されたDV防止法だ。法案を主導した元千葉県知事の堂本暁子さん(83才)が振り返る。
「最初は市民団体から申し出があり、女性議員が集まって超党派で法律を作ることになりました。当時、男性議員は“日本の男が暴力をふるうなんてありえない”と話して、あまりの認識の乏しさにショックを受けました。
当時はマドンナブームで当選した女性議員が女性被害者の立場から、議員立法で法案が成立しました。今も貧困や非正規労働など女性はさまざまな問題を抱えています。政治ができることは多いはずです」
直接的なデモ、議員への陳情、フェイスブックやツイッター、ブログなどインターネットへの投稿…今はあらゆるツールを使って、私たちは簡単に自由に政治活動ができる。そして7月には参議院議員選挙が行われる。日本経済が混迷し、世界が大きく変わる中で、憲法改正も争点になる大きな選択の選挙だ。稲田朋美議員(57才)が語ったように政治が生活そのものならば、私たちの生きづらさや不満、あるいは“こうだったらいいのに”という希望など、生活していく上での実感を発信していくことが明日を変える第一歩になるかもしれない。
安保法案に反対し、老骨に鞭打って国会前でのデモにも参加した瀬戸内寂聴さん(93才)はこう語気を強めた。
「昔を知る人はほとんどいなくなりましたが、今の状態は戦争が始まる前の昭和16年頃と同じ感じで、軍靴の音がドッドドッドッと聞こえてくる恐怖感があります。戦争は怖いものです。
これはいい戦争だ、例えば私たちの時代には東洋平和のために、日本国民のために、天皇陛下のためにとか、そんなふうに教えられたのです。しかし、世界中にいい戦争なんてものは一つもありません。男と違い、女は子供を産み、命を続けていくことができます。そのことを忘れてはいけません」
※女性セブン2016年5月12・19日号