千葉県市川市で、今年4月に開園予定だった私立認可保育園が、周辺住民の反対を受けて開園を断念。メディアでも大きく取り上げられた。
少子化が大きな問題となっている今、多くの人が保育園を建設してほしいとう思っているはずなのに、各地で反対の声が出てしまう現実がある。保育園児の声はそれほど「騒音」なのか。女性セブンは保育園の近くに住む人たちに話を聞いた。
都内に住む長谷川美紗さん(35才・仮名)は自宅のすぐ裏に保育園がある。小学2年生になる長男がいて子供の声には慣れているはずだが、それでも、
「1人1人ならかわいい声でも、大勢になると騒音に近い。甲高い叫び声や泣き声は“かわいいから許せる”という範疇を超えています」
と漏らす。掃除の際に、換気のために窓を開けると、さらに大きな声が聞こえてくる。それが毎日のように続くと「もう、うるさい!」とひとり、声を上げてしまうこともあるという。困るのは“騒ぎ声”だけではない。例えば、園児のお昼ご飯とおやつの時の「いただきます」もそう。
「『いただきます』の歌を園児たちが競うように声を張り上げて歌うから、ものすごい音量になる。体調が悪い時には頭に響くような感じがして、本当につらい。うちの子が小さかった頃には、園からの子供の泣き声に、うちの子も一緒になって泣きだしたから困りました」(長谷川さん)
では少し離れた場所ならどうか。神奈川県に住む大野亮子さん(52才・仮名)は、保育園から30mほど離れた場所に住んでいるが、それでも音は気になると話す。
「はっきり言って、かなりうるさいですね。この前は運動会の練習で、狭い園庭なのに大音量で音楽をかけ、先生たちが拡声器で必死に声を張り上げていた。まるで街宣車みたい。それが運動会2週間前から続くんですから。隣に住んでいる人は相当大変だと思います」
保育園の一日は長い。ある保育園では、0~5才までの園児たちが朝7時から8時半頃までの間に次々に登園。午前中は園庭で“遊び”の時間となる。昼食や昼寝をはさんで、午後3時におやつ。それから保護者が迎えに来るまでの間は園庭や室内での遊び時間に。保護者のお迎えは午後4時が基本だが、仕事などの都合で夜8時頃になる人もいる。
つまり開園時間は朝7時から午後8時まで。13時間もの間、近隣住民は「騒音」と隣り合わせで過ごすことになるわけだ。しかも騒音の“発生源”は園児たちだけではない。静岡県に住む角田美和さん(56才・仮名)が悩まされたのは園児の母親たちの声だった。
「わが家の隣の空き地がこの地域の園のバス乗り場になっていました。バスが来るまで、母親たちが大きな声で立ち話をするんです。静かな住宅街だから、窓を開けると、話の内容まで全部、耳に入ってくる。母親が連れているお子さんたちのお菓子のゴミが近所の家の庭に飛んでいくという問題もありました」
※女性セブン2016年5月26日号