東日本大震災から5年が過ぎ、世間の関心は4月に起きた熊本地震へと向いている。だが、忘れてはいけない。巨大地震が引き金となって、およそ5年以内に必ず起こるといわれている大噴火が、まだ起こっていないことを。その兆候が、ついに現われた。
5月6日、新潟県と長野県の県境にそびえ立つ新潟焼山(やけやま)で水蒸気噴火による降灰が確認され、山頂から半径1キロメートル以内が立ち入り禁止区域に設定された。
日付が変わった7日の深夜0時過ぎ、この噴火が“ただならぬ事態”だと説明する電話が本誌記者に入った。
「新潟焼山の噴火は東日本大震災の“最終章”である『ステージ4』に突入したことを示しています」
警告の主は地震の研究者として知られる立命館大学・歴史都市防災研究所教授の高橋学氏だった。高橋氏が解説する。
「3・11以降、東日本一帯で火山活動が活発化しています。小さな地震が集中発生する場所が複数出現していますが、震源の深さは10キロメートル以内で、それらは全て活火山の地下。東日本の複数の活火山には、マグマがどんどん溜まる状況が続いている。そんな中、新潟焼山が噴火したのです。
この山は岩盤が弱いため、他の山より早く噴火したと考えられますが、東日本大震災が引き金となって火山活動が活発化していることの証左だと思います。
過去100年間に世界中で発生した11のM(マグニチュード)8.5以上の大地震では、およそ5年以内に近隣の複数の火山が必ず噴火しています。現状、唯一の例外は東日本大震災です。多くの専門家が“近い将来、噴火する”と見ています」
つまり、新潟焼山の噴火は、東日本大震災が引き起こしたもので、近く、さらに大きな噴火が起こる可能性があるという指摘だ。