日本が失敗すれば嘲笑い、成功すれば難癖をつける。そして時には嫉妬する。それが韓国メディアの報道姿勢だ。在韓ジャーナリスト・藤原修平氏が韓国紙の社説やコラム記事から、その傾向を分析した。
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韓国メディアの日本への“嫉妬”が如実に表れるのは、「ノーベル賞」関連の報道だ。
ノーベル物理学賞に赤﨑勇,天野浩,中村修二の3氏の受賞が決定した直後の2014年10月9日、『中央日報』(電子版)は社説で、〈1人のノーベル科学賞の受賞者も輩出できない韓国の立場としては、うらやましいばかりだ〉と、思わず本音をぽろり。
一方、2016年3月14日のネットニュース『マネートゥデイ』は、韓国が今年から、ノーベル賞の発祥国・スウェーデンの学術財団と交流事業を開始することを伝えた。その中で、
〈日本のノーベル科学賞受賞の成果は、スウェーデン政府・ノーベル委員会・国家研究所・大学などを中心とした執拗なまでの科学外交と関連がある〉
と専門家の分析を引用し、日本が際立っているのは科学技術力ではなく“外交努力”であると、負け惜しみにも見える主張を展開した。
こうした論法を使い、韓国メディアはユネスコの世界記憶遺産にも噛みついた。昨年、中国の「南京大虐殺関連資料」が記憶遺産に登録されたことを巡り、日本政府はユネスコへの拠出金停止を検討。それを受け、『朝鮮日報』(電子版・2015年10月13日)の社説は、「ユネスコを脅迫する日本の品格」と題した社説を掲載した。
〈韓国は1988年、中国は1985年と、日本より先に(世界遺産条約に)批准した(中略。日本は)金をちょっと出しているばかりに、世界を見下しているようだ。安倍政権の傍若無人ぶりは感じていたが、これほど品格がないとは思わなかった〉
「金に物を言わせて尊大に振る舞う日本」と言わんばかりだが、言うまでもなく、日本政府が拠出金の停止を検討したのは中国側の資料が客観性に乏しく、審議の過程が不透明だったからだ。日本が不幸になったり不利になったりすると喜ぶ一方で、日本が主張するのは面白くないらしい。
韓国が「国家の品格」を保つためには、まずはメディアが「事実を客観的に伝える」という報道の大原則を学ぶ必要がありそうだ。
※SAPIO2016年7月号