参院選は与党vs野党の対決ばかりではない。定数が4以上の選挙区では、同じ政党の候補者が複数出馬。党内で “仁義なき戦い”が勃発しているのが神奈川選挙区だ。
自民党の公認候補は三原じゅん子氏。ところが、麻生太郎・副総理が三原氏そっちのけで自民推薦の中西健治氏(無所属)を全面支援すれば、自民党神奈川県連の実力者、菅義偉・官房長官は自分の後援会組織をフル稼働させて公明党新人の三浦信祐氏(自民推薦)の応援に走っており、「消費増税延期問題で対立した安倍政権の大黒柱2人による代理戦争」(県連幹部)が繰り広げられている。
神奈川はただでさえ改選4議席に主要政党から8人が出馬予定の大激戦区。当初、自公は候補を1人ずつに絞る方針だったが、自民党が麻生派のバックアップで2人目の候補として中西氏を推薦したことから、与党系だけで3人の候補が票を奪い合う構図になった。麻生派の中西擁立に怒ったのが公明党だ。
「公明党は1人区で自民党候補を支援する見返りに神奈川では公明候補に票を回すように求めているが、こちらに来るべき自民票を中西氏に食われて思うようにいかない。そのため“約束が違う”と官邸にねじ込んだ」(自民選対)
そこで公明党とパイプが太い菅氏が全力で公明・三浦氏の応援に乗り出したのだ。自民党県連内部から「菅さんは自分の後援会を三浦候補の決起集会に参加させ、自らマイクを握って支援を呼び掛けた。秘書まで公明党の選対に貼り付けている。いったいどこの党の人なのか」という不満が上がっているほどだ。
一方の麻生氏も中西候補の決起集会に駆けつけ、「自民党は過半数をめざす。2人立てるのは当然」とぶち上げ、収拾がつかない。優勢といわれる三原氏は、2人の重鎮に軽く扱われ焦っているのではないか。
※週刊ポスト2016年6月24日号