プロ野球交流戦での直接対決は「球界の盟主」の交代を強く印象づけた。6月10~12日のソフトバンク―巨人3連戦は、ソフトバンクの全勝。巨人は昨年の交流戦から同カード6連敗となった。
ソフトバンクの強さは、戦った者が一番感じている。巨人の主将・坂本勇人は「正直、強い。あそこに勝てる強さは僕らには足りない。選手がみな感じている」と白旗を上げた。
両球団とも球界トップの資金力を誇る。今季の支配下選手の平均年俸はソフトバンクが6960万円。今季初めて巨人(5787万円)を上回り1位となった(巨人は2位)。12球団の平均が3712万円だから、2球団が群を抜いている。
しかし、戦績は比較にならない。巨人は黒星が先行し、セ・リーグ3位(15日終了時点)。ソフトバンクはすでに40勝に到達、早くも優勝マジック点灯が話題になっている。
同じように大金をはたいているのに、なぜここまで差が付いてしまったのか。あるプロ球団関係者は、こう断言する。
「たとえソフトバンクの3倍のカネを巨人が使ったとしても、今のままの体制では、決してソフトバンクを上回ることはできない。“カネの使い途”がまるで違うんです。極端にいえば、10億円あったら、巨人はそのほとんどを選手の獲得費に使うだろうが、ソフトバンクは7億を補強に、3億を“選手の育成・バックアップ”に使うというイメージです」
5年前、ソフトバンクは他球団に先駆け「三軍」を創設した。今年から巨人もそれに倣って三軍制を敷くが、内実は大きく異なる。
ソフトバンクは今季から二軍・三軍の新球場『ベースボールパーク筑後』(福岡県筑後市)をオープンした。2つある球場は一軍の本拠地ヤフードームと同サイズで、投手の映像が出るバーチャル型打撃マシンや流水プールまで完備している。建設費60億円、管理費年間5億円ともいわれるが、特にすごいのは、屋内練習場に32台の小型カメラを配備していることだ。
「それらの映像は全てコーチ陣の元に集約される。選手の状態を細かく把握するためにカネを惜しまない。三軍といえど実戦経験を積ませるため、今年は韓国・台湾遠征など約90試合をこなす。巨人の三軍も79試合を組んでいるが、バックアップ態勢は遠く及ばない。球場が二軍と共用で、手狭感は否めない」(スポーツ紙デスク)