ロシアのプーチン大統領が25日から中国を公式訪問しているが、北京での習近平中国国家主席との首脳会談で、ロシアが中国の高速鉄道を導入する建設プロジェクトに調印することが分かった。なお、米国は今月上旬、中国の高速鉄道輸出計画の契約解消を発表したばかりだ。
そんなタイミングなだけに、今回の中露首脳による契約調印によって、中国は自国の高速鉄道の優秀さを改めて中国に印象付けて、意趣返しをするとの思惑も見え隠れしている。
ロシアの高速鉄道計画は首都モスクワとタタールスタン共和国の首都カザン間の800kmの区間で、中国側は高速鉄道建設のための4000億ルーブル(約6400億円)の融資をロシア側に貸し付ける予定だ。中露両首脳は北京で調印式を行う。
ロシアが中国の高速鉄道を導入するのは初めてで、これにより、中国は両者の友好関係の強化を謳い上げたいところだ。
なぜならば、習主席は昨年9月、米国を公式訪問した際、オバマ米大統領との首脳会談で、中国製の高速鉄道の米国導入を確認したが、米鉄道会社エクスプレス・ウエストが今月上旬、このロサンゼルス―ラスベガス間の高速鉄道の建設について、一方的に契約を破棄。これにより、習氏はメンツをつぶされた形だ。
合弁解消の理由について、同社は中国鉄路総公司の計画が遅れていることや、米政府の関連規定により中国企業が米国内で必要な諸許可を得るのが難しいこと、また米政府は高速列車の車体を米国内で生産しなければならないと定めているが、総合的に判断すれば実現が困難なためだ。
中国国営新華社通信は、中国鉄路総公司の匿名幹部の見解として、双方が協議を進めている最中にエクスプレス・ウエストがこの発表をしたのは「無責任であり、契約解消には反対する」と批判した。
このタイミングでのロシアの中国製高速鉄道導入計画の調印だけに、「メンツをつぶされた習近平主席が中国の低金利での高額の長期ローンまでつけたうえで、何とか米国を見返してやろうとしたのでは」との見方が北京の外交筋の間ではささやかれているという。
一方、日本に対しても、その矛先は向いているようだ。中国の経済専門ニュースサイト「竜訊財経網」はロシアのモスクワ―カザン間の鉄道網建設など中国高速鉄道の世界進出により、「日本経済の5分の1を消失させた」と主張する記事を掲載。この理由として、中国の高速鉄道は世界で最も早く発展し、技術も高度であり、コストパフォーマンスも高いことから、「中国人のみならず、世界中の人から高い称賛を得ている」としたうえで、「日本は高速鉄道の分野で、どこからみても中国の風下にいる」と指摘している。