慶應大1年生でAMFの社長を務める椎木里佳さん(18才)
7月10日に投開票が行われる参議院選挙に向けて、各党各候補が熱い舌戦を繰り広げている。各党の公約を見ると、以前よりも若者を意識した政策が目立つことに気づくはずだ。立候補できる「被選挙権の年齢を引き下げるべき」と主張したり、返済不要な「給付型奨学金の創設」を大きく謳う党も多い。
それは「18才選挙権」と無関係ではない。「選挙とは、予算の奪い合いです」と津田塾大学学芸学部国際関係学科教授・萱野稔人さんは言う。
「投票に行くということは、自分の望むものに予算をつけてほしいという意思表示です。そうと知らないと自分には関係ないと思って、投票に行かなくなってしまいます」
つまり、政党側からすれば、自分のところに投票してほしいから、より望まれる政策に予算をつける(実行に移す)と公約に記すわけだ。そして、簡単に言えば、Aという政策に予算をつければBという政策の予算を減らすことになる。その予算の奪い合いがそこにはある。これまでは若者向けの公約は目立たず、また若い世代の投票率は低く、シルバー民主主義といわれるほどに高齢世代に向けた予算配分がなされてきた。しかし、「18才選挙権」が大きくその状況を変えようとしている。
18、19才にも選挙権が与えられるようになったのは、6月19日に改正公職選挙法が施行されたからだ。選挙権年齢が「18才以上」に引き下げられたことにより、来たる参議院選挙では約240万人が新たな有権者となった。
慶應義塾大学1年生で、マーケティング会社AMFの社長を務める椎木里佳さんは18才。政治にはほとんど興味を持っていなかったが、有権者となったことで、徐々に政治に“参加する”意識が芽生えてきたという。6月に政治家らとの対談を収めた書籍『大人たちには任せておけない!政治のこと』(マガジンハウス刊)を刊行した彼女は、気にとめて、考えるようになり、疑問も出てきた。
「クールジャパンの戦略担当大臣が60代っておかしくないですか?“カワイイ”ってどういうことか、ちゃんとわかっているんですかね。でも、担当大臣の年齢を気にせずに過ごしていた私たちもヤバいんじゃないか?と思っています」
とりわけ興味を抱くのは、自分の将来に直結する政策だ。
「夫婦別姓はやってほしい。私は自分の苗字が好きなので、結婚しても変えたくないんです。男性が婿に入って苗字を変えるのを『かっこ悪い』という風潮もおかしいし」
そう話す椎木さんは、参議院選挙の投票には行くと決めている。
「選挙に行かない人は、政治に対して意見する資格がないと私は思っています。それから、政治のことを語るとすぐ“意識高い系”っていうのも、違うと思う」
『ワイドナショー』(フジテレビ系)などに出演している高校3年生のモデル・岡本夏美さんは7月1日に18才の誕生日を迎える。
「投票には必ず行こうと思っています。授業でも選挙について考える時間があったので関心が膨らみました。この間までは見向きもしなかった街頭演説にも、今は自分と関係のあることなんだという意識になりました」
若者の意識は確実に変わりつつある。
※女性セブン2016年7月14日号