夫婦の形はさまざま。「家計は妻に任せっぱなし」「財布は夫婦で別」などいろいろなケースがあるだろう。しかし、どんなに収入が多い家庭でも、互いに家計が“見えていない”と、リスクが大きいと指摘するのはファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。
「注意したいのが、共働きのご家庭。夫が家賃、妻が食費などと費目で支出を分担し、それ以外は自由。貯蓄も自己管理。数年後に確認したら、貯蓄がゼロだったということが多いんです」(横山さん)
貯蓄がないだけならまだしも、借金を抱えているケースも。どちらが握るにせよ、相手任せにするのは危険なのだ。
「家計管理は妻がすべきと思いこまず、得意な方がすればいい。ただし、握っている方は、いつでも開示できるようにして」(ファイナンシャルプランナー・氏家祥美さん)
家計の不満のほとんどは、情報共有で解決できるのだ。では、お互いが「見える」形にするには、どうしたらいいのか。まず必要なのは家計簿だ。面倒だが、1か月だけでも、生活費の内訳がわかるようにしておけば、相手を黙らせる最強の“武器”になる。
「夫のほとんどは、自分の稼ぎだけで充分まわっていると信じています。ですから、家計に余裕がないことを説明するには、具体的な“数字”を見せることが大切。小遣い値上げ交渉にも対抗しやすくなります。また、夫からもらう生活費が足りない場合も、子供が成長して食費が上がっていることなどを数字で説明でき、生活費の値上げ交渉に役立ちます」(氏家さん)
家計共有は、毎月できればいいが、年1~2回でもよい。
「ボーナス時など、気持ちに余裕がある時がおすすめ。貯金額や支出の内訳を確認し、今後どう使っていくか話し合って。目標を共有すると夫婦の目線が揃い、漠然とした不安が消えます」(氏家さん)
数十年先を見越せる家族の年表“ライフプラン”を立てておくとさらに役立つ。
「教育費のピークがいつか、住宅ローンは何才で終わるかなど、大きなお金の流れを夫婦で確認しておきましょう。車の買い替えなど、近い将来の出費にも備えられます」(氏家さん)
ただし、小遣いの使途は自由にさせておくのがポイント。管理しすぎるとお互いストレスになるからだ。また、専業主婦も小遣いは持つべきだという。
「専業主婦は小遣いがないケースが多いですが、それだと、家計にランチ代や美容代を紛れ込ませ、逆に支出がザルになります」(横山さん)
妻も小遣いの中で自分の出費はまかなうようにした方が家計は安定する。
また、見落としがちなのが収入の確認。アンケートでも「給与明細を見たことがない」という人が意外に多かった。
「給与の振込を第2口座まで指定できる会社も多いんです。妻が第1口座しか知らず、給与明細も見ていないと、隠し収入がある可能性も」(氏家さん)
給与明細は、残業手当の増減や、財形の確認だけでなく、愛人やギャンブル用の口座がないかの確認にも役立つのだ。
※女性セブン2016年8月4日号