これまで『週刊ポスト』では、ジャーナリスト・岩澤倫彦氏による歯科治療のタブーに斬り込むシリーズ記事を度々掲載してきたが、全国の歯科医たちから賛否両論が噴出している。
そこで今回は、編集部や筆者に意見を寄せた、あるいはネット上で記事の批評を掲載していた歯科医を緊急取材した。論争テーマへの率直な意見と、歯科業界の実状を本音で語ってもらった。
本シリーズへの見解を聞いた6人の歯科医を紹介する(五十音順)。埼玉の大月晃氏(大月デンタルケア・理事長)/神奈川の長崎祥吾氏(ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長)/東京の小林優氏(村岡歯科医院・院長)/千葉の西尾元秀氏(ニシオ歯科・院長)/広島の三好龍治氏(三好デンタルオフィス・代表)/大阪の米畑有理氏(歯の花クリニック・院長)
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限られた患者を奪い合う歯科医たちには、いま様々な広告業者がハイエナのように群がり、宣伝に多額の資金が投じられ、患者は何を信じていいかわからない。
今回、取材に協力してくれた6人の歯科医たち全員が共通して口にしていたキーワードが「予防歯科」だ。米畑氏の言葉を紹介しよう。
「銀歯だろうが、レジンだろうが、虫歯で開いた穴を埋めているだけです。虫歯や歯周病の原因にアプローチしないと、繰り返します。
歯の先進国スウェーデンでは『予防歯科』を実践して、虫歯や歯周病を防いでいます。唾液検査で虫歯リスクをチェックして、定期的にお掃除等のメンテナンスを受ける方法ですが、効果は実証されています。
このまま安い治療費で、保険診療の出来高制のために、どんどん歯を削るのをずっと続けていいんでしょうか。どこかで止めないとダメですよね」
国は、予防歯科の分野に、保険は適用しない方針を示している。理由は、保険の給付対象が「疾病」に限定されているからだという。それで本当にいいのか。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号