夏真っ盛りのこの時期に最旬を迎える食材が「メカジキ」だ。「マカジキ」の身は赤味を帯びたオレンジ色なのに対し、「メカジキ」の身は白に近い薄ピンク色。冷凍ものは通年流通しているが、生と冷凍ものは似て非なる食感と味わいだ。旬の今こそ、新鮮な生ものを楽しみたい。
◆そもそも「メカジキ」とは何なのか?
食味がマグロと似ていることや、マグロよりも使い勝手がよいことなどから誤解が生じ、いつの間にか名称に“マグロ”とつくようになったが、カジキマグロという魚は存在しない。
マグロはサバ科、カジキはメカジキ科/マカジキ科で、親戚ですらない。カジキはかなり凶暴な魚で、剣のように長く尖った口先で船板の梶木をも突き通すことから、「カジキ」と呼ばれるようになったともいわれる。日本近海には高級魚のマカジキはじめ約6種が生息するが、店頭に出回っているのはおもにメカジキ科のメカジキ。夏が旬で、その身は加熱調理に適している。
◆高たんぱく・低脂肪の優等魚
メカジキは高たんぱく・低脂肪の魚で、ダイエットに◎。心疾患や動脈硬化を予防する一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も多く含む。また、カルシウムの吸収を高め、骨や歯を丈夫にするビタミンD、余分な塩分を排泄するカリウムが豊富だ。
◆おいしいメカジキの選び方
体長4~5m、体重300kgにもなるメカジキは、調理用として大きめの切り身で売られていることがほとんどだが、家庭用なら1.5cmほどの厚みが調理しやすい。ふっくらと透きとおるような薄ピンク色で、必ず生ものを選ぶといい。
◆おすすめレシピは「メカジキのコンフィ」
料理研究家の松田美智子さんが、旬のメカジキの美味しい食べ方を教えてくれる。
「メカジキは栄養満点のヘルシーなお魚。口当たりは淡泊なのでいろいろなお料理に使えます。オイルと煮るコンフィにすれば、まずはアツアツをバケットと味わい、残りはそのまま冷蔵庫で保存して、大根おろしとおしょうゆをプラスして冷製パスタに、薬味と合わせてぶっかけそうめん…と、使い勝手は自家製のツナ缶のごとく自由自在。幾通りにも楽しめます」
◆メカジキのコンフィの作り方
【1】メカジキの切り身2枚に塩小さじ1/2と白こしょう少量をすりこみ、15分置く。
【2】厚手の小鍋にオリーブ油・チキンスープ各1/2カップ、ローズマリー2本、にんにく1片を合わせて【1】を入れる。蓋をして弱火にかけて10分煮る。保存する場合は、粗熱を飛ばしてから保存容器に入れ、冷蔵庫へ。
※オリーブ油にも旨みが移っているので、サラダドレッシングに使ってもよい。
※女性セブン2016年9月1日号