中国では旅客機に搭乗する乗客がトラブルを起こすケースが続出していることから、20年ぶりに「民用航空法」を改正することになり、その原案がまとまった。それによると、悪質な乗客には最大で5万元(約85万円)の罰金を科すとともに、旅客機への搭乗を拒否するブラックリストに載せることになったことが分かった。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
中国では市民の収入レベルが向上しており、それに伴い、20年前に比べて、旅客機で移動する人々の数が毎年2ケタ増と、右肩上がりに激増している。昨年1年間の乗客数は約4億3600万人と、前年比11.3%増。そのうち4200万人が国際便を利用している。
しかし、日ごろから旅客機に乗り慣れていない乗客も多く、これに伴いトラブルも激増している。
タイ航空機に乗った中国人の乗客がカップラーメンを食べるためのお湯を客室乗務員にかけるなどの暴力行為が起きた。これが、全世界に報道され、一部の中国人のマナーの悪さが大きな話題を呼んだ。
これは最近も同じで、今年6月には海南航空機で、エコノミークラスの乗客2人がファーストクラスへの変更を要求。2人は、その代金の支払いをしないまま、ファーストクラスの席を占領したうえに、客室乗務員に暴力を振るう事件が発生。結局、2人は警察に通報され、傷害罪などの容疑で逮捕されたという。
この間、3時間以上、旅客機は出発が遅れた。
また、このところしばしば発生するのが、出発時の携帯電話の電源オフを拒否するケースだ。昨年8月、武漢から北京行きの航空便で、乗客の一人が電源を切らなかったため、北京に到着した後、警察に通報され、500元の罰金を支払う羽目になった。
さらに、別のケースでは電源を切ることを拒否した乗客が客室乗務員に暴行をふるい、警察に逮捕され、10日間拘置所に拘留される事件も起こっている。
これらの暴力事件が頻発していることから、民用航空法の改正に至ったわけだが、ネット上は「法律の改正も必要だが、中国人全体の道徳心や民度の向上が最も必要だ」などの抜本的対策が書き込まれている。