カープ優勝で沸く広島は中国地方一の大都市のためか、近隣県民からは「広島は周囲を見下している」というブーイングも聞こえる。広島県出身のフリーアナウンサー・山中秀樹氏は批判を堂々と認める。
「相手に『ご出身はどちらですか?』と聞いて、岡山・島根・山口などといわれたら悪いけど、優位性を感じちゃう。岡山の人は広島まで買い物に来ますからね。中国・四国で一番というプライドがある」
実際、山口県の岩国市は広島の「属国」だと思っている県民が多い。
「岩国市から山口市は約100キロもありますが、広島市は35キロほどと地理的にも近い。広島県の観光ガイドには、県内の名所と並んで岩国市の錦帯橋が掲載されています。広島のテレビ局も“自分の県の観光地”として岩国を紹介するので、本当に岩国市は広島県にあると思っている県民が、結構いる」(『広島人あるある』著者でノンフィクションライターの幸部辰哉氏)
60代の岩国市民が憤る。
「広島の若者は免許を取ると必ず一度は、岩国市の山中にあるドライブインの『いろり山賊』という派手なレストランを訪れます。“山口に来ている”状況にもかかわらず、『山賊』も広島のもんと思っている」
その一方で、東の県境を接する岡山県をライバル視していると幸部氏がいう。
「岡山県には、広島市と並んで中国地方で2つだけの政令指定都市・岡山市がある。決して追い越されることはないという優越感から山口には好意を持つが、中国地方の最大都市を競う岡山のことは好きになれない」
そんな広島県民に衝撃が走ったのは2014年12月。岡山市内に西日本最大規模を誇る「イオンモール岡山」がオープンしたのだ。岡山に住む40代男性が当時を振り返る。
「広島ではなく、岡山にできたことに憤慨し、多くの広島ナンバー車が“偵察”に来ていた」
プライドは高いが、「東京には勝てない。憧れている」(前出・山中氏)という広島県民は、「西日本最大」という言葉に弱い。
「広島駅の近くにタワーができた時は『西日本最大級』と銘打って盛り上がりました」(前出・幸部氏)
※週刊ポスト2016年9月30日号