芸能

安藤サクラ 『ママゴト』でのやさぐれ母親役でさらに光る

安藤サクラの演技が光る『ママゴト』

 女性の生き方が多様化したことでドラマの描き方も変化しつつある。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『ノンママ白書』(フジ系土曜午後23:40)と、『ママゴト』(NHKBS プレミアム火曜午後11:15)。今、「ママ=母」がキーワードになった2つのドラマが放送されています。「ママ」という共通項はあっても、その中身はまったく正反対。対照的と言いたくなるほどの違いがある。そこが実に面白い。

 まず、フジの『ノンママ白書』。働くアラフィフ、子なし女たちの姿を描くドラマ。「ノンママ」とは、さまざまな事情で子どものいない人生を選んだ女性のことらしい。

 主人公は中堅広告代理店に勤める土井玲子(鈴木保奈美)。その友達・大野(菊池桃子)と葉山(渡辺真起子)、3人のおしゃべりが中心となって進んでいきます。ドラマはのっけから「閉経」の話題に。かつてトレンディドラマの象徴だった鈴木保奈美さんが、自らの閉経についてあけすけに語る。「生理」ネタは、私たち女にとっては日常でもオジサンにとっては「衝撃」。しかも閉経ときた。

「斬新なドラマ」を狙った戦略なのでしょう。友人役の菊池桃子がどこか得意げに「老眼」について話すシーンもしかり。

「老化」「婚活」「年金」「熟年離婚」「孤独死」……アラフィフ女の現実を直に表現する言葉がセリフのあちこちに散りばめられた3人の女子トークがお定まり。毎回、固定カメラで延々と続く。そこが見所と制作陣はふんでいるのでしょう。

 けれど、ドラマとしてはあまりに退屈、クダクダと説明的。役者の基本。それは相手の言葉に反応して、セリフを語ること。しかし、鈴木さん、菊池さん、渡辺さん3人ともに基本を度外視。

 自分が覚えたセリフを、言おう言おうという意識が丸見え。だから、やりとりのライブ感、リアル感が消えてしまう。つまり、自然な会話に見えないのです。これは「ドラマ」じゃなくて、「説明」です。

 とはいえ、『ノンママ白書』はそれなりに注目され人々の関心を惹きつけて共感も得ているもよう。では、視聴者はいったい何に反応しているのでしょうか?

「子供のいない中年女の悩み」「仕事と女の両立」「独身で将来どうやって生きていけばいいのか」。そうした「テーマ性」に関心を抱き、自分にひきつけて考えようとしている視聴者が多くいるのでは? つまり「中年女の生く末」というテーマ性は今後も扱う価値のある、インパクトと深みのある素材。でも、ドラマとしての出来ばえは、首をかしげたくなるところ。

関連記事

トピックス

佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
大型特番に次々と出演する明石家さんま
《大型特番の切り札で連続出演》明石家さんまの現在地 日テレ“春のキーマン”に指名、今年70歳でもオファー続く理由
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト