中国人民解放軍で党員の不正を追及する規律検査部門は初の国産空母建造のため国家的なプロジェクトチームである「048弁公室(「オフィス」または「事務所」の意)」所属の中国海軍大佐を汚職の疑いで身柄を拘束し、取り調べを行っていることが分かった。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が違う部署の2人の軍幹部の話をもとに「独自情報」として報じた。
中国ではウクライナから購入した空母「ヴァリヤーグ」を改造して、2012年9月には中国名「遼寧」が正式に就役しており、中国が所有する初の空母となった。
その間、中国独自で建造する初の国際空母「001型」の開発計画が並行して進んでおり、中国国防省の呉謙報道官も8月の定例記者会見で、「初の国産空母の建造の進展は順調である」ことを明らかにしている。001型は中国東北部の大連市の造船所で建造されていると伝えられる。
その主要プロジェクトチームとなっているのが048弁公室だ。048弁公室は2007年ごろ、国産空母建造に海軍内に特別に設置された極秘の専門組織で、メンバーの室員は軍内でも有数の専門家で、超エリートと位置付けられている。
同紙によると、逮捕された大佐は陳文超(※音訳)氏で、弁公室の有力幹部として、主に必要な装備などを調達する部門の責任者の一人で、将来を嘱望された優秀な将官とされる。
陳大佐は同弁公室に異動する前に海軍病院の建設などを担当しており、過去の兵舎建設に絡む問題が指摘されているという。報道では、陳大佐の妻がこの兵舎建設を担当する民間企業の幹部で、妻とグルになって、建設費から数年間に1億7000万元(約25億5000万円)もの資金を個人的に流用していた疑いがもたれている。
陳氏は048弁公室に異動するために、上官に賄賂を贈っていたとみられている。また、陳氏の腐敗事件に絡んで、すでに数人の軍幹部が取り調べを受けた結果、相次いで自殺を図ったと同紙は伝えている。
ネット上では「中国軍の威信をかけた国家プロジェクトで初の国産空母建設の『001型』プロジェクトを担当する超エリートが腐敗事件に関わっているとは、中国軍の内部は腐り切っている証拠だ」などの辛辣な書き込みがみられる。