中国が北京冬季五輪開催の2022年2月までに、北京・張家口間を結ぶ鉄道を建設することが明らかになった。両市の間には、世界遺産に指定されている万里の長城(八達嶺)が存在していることから、この区間は、工事をしても長城に影響が出ないように、地下102mまでトンネルを掘り進め、駅を建設する予定。完成すれば世界最深で、最大の鉄道駅となる。
中国共産党機関紙「人民日報」がトンネル工事の専門家で、中国鉄道総部第5鉄道建設工程小組(グループ)の陳斌・主任の話として報じた。
国際オリンピック委員会は昨年7月、2022年の冬季五輪開催地として、北京を最終的に選んだが、中国政府は五輪の競技会場として、北京市と、北京に隣接する張家口市のスキー施設を利用すると発表している。
このため、中国政府は2022年2月の五輪開催までに、北京市中心部から張家口市中心部まで、直線距離で約160kmを結ぶ高速鉄道を建設することにしたもの。この高速鉄道が完成すれば、五輪観戦者にとっても、会場までの移動が極めて便利になる。
ただ、建設上の難点は北京市中心部から約80km西北に位置する「八達嶺」と呼ばれる万里の長城が存在することだ。長城部分は、鉄道が陸上を通るわけにはいかず、地下トンネルにしなければならないが、長城に工事の影響が及ばないために地下102mまで掘り進めることになったという。
さらに、駅の建設面積も3万6000平方mと国際水準のサッカー場5個分の広さになる。同紙によると、これも駅としては世界最大の広さだという。
八達嶺は毎年、春節(旧正月)休暇の期間中、1日で約3万人の観光客が訪れるという。北京の観光旅行業者は「北京から八達嶺まで、自動車だと通常、1時間程度だが、高速鉄道が完成すれば、ほぼ20分程度と大幅に短縮される。また、輸送量や観光収入も大幅増が見込まれる」と述べて、早くも「取らぬ狸の皮算用」を始めている。