中国共産党員の党費の滞納が問題になっている。その額は2008年から昨年末までの8年間で合計約100億元(約1500億円)にも達しており、業を煮やした党中央は6月から党内部で大々的な党費納入キャンペーンを展開していることが分かった。北京の党幹部筋が明らかにした。
党費滞納問題はこれまで徐々に表面化してきていたが、中国国民の模範となるべき党員の身勝手さをさらけ出すような恥ずかしい話であるために、党機関紙「人民日報」などの大手メディアで報道するのは避ける代わりに、人民日報傘下の国際問題紙「環球時報」(電子版)が今年6月、中国語ではなく、英語で報じた。
党費滞納問題はそれほど、タブー視されていることが分かるが、党の支配下にある同紙が報じなければならないほど深刻な状態にあることを示しているといえそうだ。
それによると、党員の規律違反などを摘発する党中央規律検査委員会が滞納問題について、「党規則の意識が弱く、党の観念が乏しい。これは党が直面している大きな挑戦である」とのっけから危機意識を訴えている。
さらに、「党費を納めることは、党員としての最も基本的な義務である」としたうえで、問題は政府の各部門や国有企業だけでなく、各級党委員会や党の工作部門にも存在する」と事態の深刻さを強調した。
具体的には、2008年から昨年末までで、山西省では22の国有企業は8000万元を滞納しており、天津市の66の国有企業の12万人あまりの党員の滞納額は2億7700万元にも達していることを明らかにしている。
同紙は現時点で党員数は9000万人を超えているとしたうえで、「党員が党費を払うという意識が低すぎる」と指摘している。
前出の北京の党幹部筋によると、党費は個々人の月給の額によって違い、「月給の0.2%から0.5%」と定められているという。昨年の都市部労働者の年収は約6万元で日本円では90万円となっており、党費は年間で「1800~4500円」という計算になる。
支払えない額ではないはずだが、これについて、同筋は次のように指摘する。
「最初から払う気はないということでしょう。最近は寄らば大樹の陰で、入党すれば、公務員にもなりやすいし、生活も安定し、一種の社会的なステータスにもなるからです。革命時代の党員は国家のためという気概がありましたが、いまはすべて個人主義。
党の恩恵を受けているのだから、党費を払うのは当然ですが、そういう意識もないほど党員の質が下がっているということです。今後、党費を滞納している党員を逮捕するなどの厳しい措置を実施することも検討されています」