中国では墓不足が深刻化しているが、中国共産党の最高指導者の1人だった黄菊・元党政治局常務委員が眠っている上海の墓地は約6700平方mもの広大なもので、その価格は約6億元(92億4000万円)であることが分かった。
その墓地のなかには広大な庭園や大きな石碑、松林などもあり、あまりにも庶民感覚からずれていることから、「庶民は1平方mの墓地を手に入れるのにもあまりにも高くて、死んでも死に切れないのに、最高幹部が庶民の墓を分捕ってしまうとは、あまりにも非常識だ」などとの非難の声が出ている。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が報じた。
黄氏は副首相などを歴任したが、2007年6月、がんのために死去。享年68だった。黄氏は当時、党最高幹部の党政治局常務委員だったため、革命烈士や党政府幹部の墓苑である八宝山墓地に遺骨が納められた。しかし、昨年、親族の意向で、黄氏の故郷である上海の清福福寿園墓苑に遺骨が移され、埋葬された。
黄氏の墓地は「清菊園」と名付けられ、自然の豊かさを意味する「青山緑水」だ。青々とした山、草木の緑が映える水を具現化した庭園が建設されるなど、その広さは6700平方mにも及んでいる。
この墓苑では、墓一つの広さは1平方mで、黄氏の墓苑は庶民6700人分の広さとなる。また、この墓地の1平方mの値段は平均で8万元(約123万円)なので、黄氏の墓苑だけで6億元もの値段となる計算だ。
これだけの広大な土地を一人の人間が占領していることに、上海市民の間から強い不満や批判が出ているという。
ネット上では「この墓苑は税金で建設された公共墓地だが、黄氏はいくら税金を支払って、このような広大な土地を独り占めしているのか」との批判が出ている。
また、黄氏は生前、とかく腐敗のうわさが絶えず、汚職などの容疑で逮捕されて失脚した陳良宇・元上海市党委書記の事件に深く関与しているとも伝えられていた。このため、黄色氏は庶民の間では不人気だったこともあり、ネット上では「腐敗幹部は、死んでからも庶民に迷惑をかけている」などの書き込みも見られている。
ちなみに、中国の墓は高価なことで知られており、北京市の大興天堂公営墓地の販売額はすでに最高145万元(約2200万円)に上り、北京市豊台区思親園骨灰林にある5つの「亭子墓」でも200万元(約3080万円)もする。このため、夕刊紙「斉魯晩報」は「墓地の値段が高騰しており、庶民は墓代が高すぎて死ぬこともできない」などと報道している。