投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の10月31日~11月4日の動きを振り返りつつ、11月7日~11月11日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は大幅に下落。週末には25日線を割り込み、節目の17000円を下回っている。決算発表が本格化しており、決算を見極めたいとの模様眺めムードのほか、OPECの事務レベルの打ち合わせが物別れに終わったこと。さらに1週間後に迫った米大統領選に関して、リードしていた民主党候補ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題が再燃、ヒラリー氏の人気が落ち込むなかで、トランプ氏の猛追によって大統領選への不透明感が強まった。ヒラリー氏勝利を想定したポジションの修正を余儀なくされるなか、米国市場ではNYダウが6営業日続落。日経平均は祝日を挟むなか、急ピッチでの調整を強いられた。
週末には米雇用統計を控えているが、前哨戦となるADP雇用報告は、14万7000人増加。市場コンセンサスの16.5万人増を下回る5カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。雇用の伸びはなお力強いが、ペースは減速している。そのため、やや予想を下回る可能性がありそうだ。これにより、年内利上げ観測が後退する可能性もある。
もっとも、市場の最大の関心事は大統領選となる。大統領選を前に米国株から外国人投資家が資金を引き揚げている需給状況のなか、結果次第では波乱の展開になりそうだ。市場ではヒラリー・クリントン氏が勝利するとの見方が根強く、トランプ氏が勝利すれば市場は打撃を受けると考えている。
市場はトランプ氏勝利を想定したポジションに傾いてきており、ポジション圧縮のなか、足元の調整は避けられそうになさそうだ。ただし、波乱を想定した急ピッチの調整によって、例えトランプ氏勝利となったとしても下げは限定的となる可能性はある。
また、英国のEU離脱問題(ブレグジット)の時も、予想外のなかで波乱展開とはなったが、その後はアク抜けに向かっていた。当初の予想通り、ヒラリー大統領誕生ともなれば、修正リバウンドが意識される。そのため、結果を見極めてからにはなるが、いずれの場合も自律反発が期待されそうだ。
しかし、年内利上げについても不透明である。12月利上げがコンセンサスとなろうが、これも大統領選の結果次第といったところ。市場は年内利上げなしを織り込む流れに次第に向かうことになりそうだ。その他、来週も主要企業の決算発表が続くが、大統領選を控えてイレギュラーな価格形成をみせた銘柄も少なくなく、大統領選通過後は見直しの流れも意識しておきたい。