中国で1999年から富豪ランキングを発表している民間経済研究所「胡潤研究院」は10月、今年の「胡潤富豪ランキング」を発表し、コングロマリットの大連万達集団(ワンダ・グループ)創始者の王健林会長が個人資産総額321億ドルで、昨年に続いて中国ナンバー1の富豪の座に輝いた。
第2位は電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディングの馬雲(ジャック・マー)会長で、306億ドルと、1年間で個人資産を41%増やしたが、王氏に及ばなかった。同研究院の創始者、ルパート・フーゲワーフ会長は、「2020年ごろには、中国から世界一の富豪が出るだろう」との予測を明らかにしている。ロイター通信が報じた。
今年のランキング3位はポータルサイト「テンセント(騰訊)」のポニー・マー(馬化騰)氏で246億ドル。4位は金融大手、宝能集団の姚振華会長(男性)で、1年間で資産を9倍以上も増加させて、総資産は172億ドル。宝能集団は中国の不動産最大手、万科企業に対する買収合戦で主役を演じた人物だ。
フーゲワーフ氏はロイター通信に対して、「中国の富豪の富を築くルートが従来の貿易や製造業から、金融に移っており、姚氏の躍進もそうした新たな潮流の象徴だ」と指摘している。
フーゲワーフ氏は毎年2月に世界富豪ランキングも発表しており、今年は資産10億ドル以上の中国人大富豪は594人に増え、米国の535人を超えたものの、世界トップ20入りを果たした中国人はいない。
今年の世界ランキングは10億ドル以上の資産を持つ世界中の富豪2188人をランク付けしたもので、1位はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(800億ドル)。2位は「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェット氏(680億ドル)だった。
中国人トップの王健林氏は、今年は21位で、昨年の33位からランクアップ。華人の中でも1位となった。今年の世界ランキングでは中国の首都、北京で暮らす富豪の数が初めて米ニューヨークを上回っており、北京在住の富豪は100人。北京は「世界で最も富豪が住む都市」となった。
今後の中国人富豪の動向について、フーゲワーフ氏は中国紙「南方都市報」のインタビューで、「2020年ごろに中国から世界一の富豪が出るだろう」との見通しを明らかにしている。
この理由について、同氏は「米国ではランキングトップの変動が少ないが、中国は過去17年で12回入れ替わっている」とその競争の激しさを説明。世界一になる可能性のある中国人富豪は王健林氏と馬雲氏の1、2位コンビのほか、ポータルサイト「テンセント(騰訊)」のポニー・マー氏、スマートフォンを製造する「シャオミ」の雷軍(レイ・ジュン)氏もトップが狙えるとし、「中国の現在の勢いが続けば5、6年後に中国人が世界一の富豪の座に躍り出るだろう」と指摘している。