中国共産党機関紙「人民日報」は中国現代国際関係研究院の袁鵬・副院長の論文を掲載し、ドナルド・トランプ氏が当選した今回の米大統領選について、「汚、乱、劣、病」の4文字で表現し、厳しく批判した。
識者の論文の寄稿とはいえ、党機関紙がこれほど激しく米大統領選を批判するのは極めて異例。それほど、次期大統領に当選したトランプ氏について、中国共産党指導部が警戒していることの現れと受け取れよう。
論文は「『汚』は、両候補者が公開討論で互いに多くの米国人にとって耐えられない、汚い言葉を浴びせたことだけではなく、いわゆる米国式民主の背後にある『汚い一面』にも現われた」と前置き。
そのうえで、「民主党はヒラリー・クリントン氏の党内勝利を確保するため、バーニー・サンダース氏の排除を『内部決定』した」と党内の裏取引を批判。
さらに、論文は「ほぼ全ての主流メディアがクリントン氏側『一辺倒』で、トランプ氏らが『米国の民主主義はすでに死んだ』と主張した」ことを挙げている。
「乱」については「大統領選では、クリントン氏とトランプ氏の間で、『メール疑惑』『健康スキャンダル』『セクハラ疑惑』が次々に取り沙汰されるなど、乱れに乱れた」と指摘した。
「劣」は、「選挙の格調が劣っているだけでなく、それ以上に選挙状況全体が感情的で過激な発言と遠慮のない個人攻撃に走り、候補者が政策論争に力を集中できず、選挙が本来の趣旨を失い、茶番と化したことだ」と批判している。
「病」については、3つ挙げており、第1は貧富の格差拡大などの「経済の病」、第2は人種差別の激化などの「社会の病」、第3が民主・共和両党の激しい対立などの「政治の病」。論文は、これらの3つの病が発生したことについて、「『米国の病』の根本的原因は冷戦後に米国が本来行うべきだった体制的変革が行われず、構造的矛盾が積み重なり、『小病』が『大病』になったことにある」と分析している。