六代目山口組の新年行事「事始め式」が13日に開催されるのを控え、緊張が高まっている。山口組大分裂から2回目の“正月”を迎える中、抗争の行方を左右する要素として注目されているのが、その「資金力」だ。暴排条例(暴力団排除条例)の施行によって、暴力団のシノギが細っているといわれる一方で、彼らは新たなカネ集め手段を強化していた。
2つの山口組抗争のニュースでは双方の幹部の動向や、敵対組織への襲撃が大きく取り上げられるが、暴力団の抗争では、資金力こそが最大の武器となる。暴力団事情に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が言う。
「バブル以降、山口組をはじめとした暴力団は、資金力で勢力を拡大してきた。旧住友銀行に山口組の企業舎弟が入り込んで3000億円を闇に流したといわれるイトマン事件(*)など、“裏の世界”の住人であるはずのヤクザはカネの力を使って表の世界にかかわってきた。バブル時代、地上げなどシノギの幅を広げ山口組の有力幹部は100億円以上の資産家となった。暴排条例の全国施行(2011年)もあり、近年はそうした派手なシノギは鳴りを潜めてきた」
【*1991年、大阪の商社「イトマン」を舞台に不透明で巨額な絵画取引や不動産融資が行なわれ、3000億円以上が消えた巨大不正経理事件。河村良彦社長、伊藤寿永光常務、不動産管理会社代表の許永中氏らが特別背任容疑などで逮捕された】
が、ここに来て再び活発化の兆しが見えつつある。理由は2つの山口組抗争だ。シノギで勝る、カネのある方が最後は勝つと言われており、双方が巨額の資金を貯め込んでいる。現在、その大きな拠点となっているのが、海外なのである。