中国・習近平国家主席夫人の彭麗媛さんが中国文学芸術界連合会(文連)の副主席に選出されたことが分かった。中国文連は中国の文化団体ではもっと権威があり、郭末若氏(故人)や茅盾氏(同)といった中国では最高峰の文学家が名誉主席を務めるなど、その会員は中国を代表する作家であり専門性も高い。そのため、歌手出身の彭麗媛さんが副主席に就任したことに疑問の声が上がっている。この件については、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「他維新聞網」が報じた。
同サイト上では、かつて毛沢東主席夫人の江青女史が1966年8月に中央文革小組第1副組長に就任し、政治的にも実権を握り、毛沢東の思惑もあり党政治局員に就任するなど、文化大革命(1966~1976年)を主導し、多くの犠牲者を出した例を紹介。「習近平はいよいよ文化大革命を始めるつもりか」などの声が書き込まれている。
彭麗媛さんは2日に北京で開かれた第10回中国文連全国代表大会(総会に相当)で文連副主席に選出された。
彼女は、かつて中国軍総政治部所属の歌舞団の歌手として、「中国の歌姫」とも呼ばれたほど最も人気が高く、数多くのヒット曲も手掛けている。1987年、習氏がアモイ市副市長の時に結婚。その後も現役を続けていたが、2001年、習氏の浙江省党委書記就任を機に引退し、後身の指導を行っていた。
ところが、習氏が2007年、党政治局常務委員に昇格したあと、歌舞団長や中国共産党軍隊芸術学院長(兼教授)、中国軍の少将に相当する軍隊文職専業技術2級幹部など、多くの団体の幹部に就任している。これは、ファーストレディであることと強い関係があるとみられている。
もっとも、これらの団体は彭麗媛さんの出身母体である軍の関係団体であることからそれなりに納得できるが、文連はこれらの団体とは比べ物にならないほど権威がある。
名誉主席の茅盾氏は1949年から1965年まで文化大臣を務めたほか、「近代中国最大の共産作家」と称されるほど名声も高い。
彭麗媛さんが中国のファーストレディだからといって、そのような団体の副主席に就任するのは「まさにお笑い」「文化のかけらもない」といった辛辣な批判が同サイトのコメント欄にはみられる。