まさひろくんは1日に2回ほど姿を現す
カメラ片手に追いかける人の群れをよそに、悠然とお尻をフリフリ。時折立ち止まったかと思ったら、翼を広げて出血サービス。天王寺動物園(大阪市)には、話題のニワトリまさひろくんがいる。
12月の肌を刺すような寒さでも、まさひろくんの写真を撮ろうとお客が殺到。理由は、年賀状に使いたいから。それもそのはず、まさひろくんは絶体絶命のピンチを3度も乗り越えたご利益満点の「奇跡のニワトリ」なのである。
天王寺動物園にやってきたのは2015年7月のこと。当時はまだピヨピヨのヒヨコちゃん。そのときのまさひろくんは、たぬきやアライグマに与えられる「生き餌」だった。
【幸運1】マガモの“兄弟”
たまたま、まさひろくんがやってきた時期に孵化したマガモの雛がいた。
「子ガモは1羽だと人を怖がって餌を食べようとしないが、ヒヨコを一緒にすると、まねをして餌を食べるようになる。ヒヨコだったまさひろくんは子ガモの“先生役”になり、動物たちの餌となる難を逃れたんです」(飼育員の河合芳寛さん)
【幸運2】イタチが消えた
2015年9月、鳥類を展示する『鳥の楽園』ゾーンでイタチが悪さをするように。動物園側は捕獲のためのワナを設置したが、悲しいかな、おとりのエサに抜擢されたのがまさひろくんだった。
「まさひろくんはねずみ捕りの中でじっと3日間待っていました。でも、なぜかその間に、イタチが消えてしまったんです」(同前)
【幸運3】肉食獣は腹いっぱい
ヒヨコから若鶏になると、たいていは大型の肉食獣に餌として与えられるのが、世の動物園の常。ところが、園内の肉食獣の飼育係から、餌として欲しいという申し出が「偶然、なかった」(同前)。
目下のピンチは「鳥インフルエンザ」の大流行だとか。
かくして、今では立派に成長したまさひろくん1才。逃げ回って生き延びるのは決して恥じゃない。酉年の2017年、幸運のまさひろくんにあやかりたい。
※女性セブン2017年1月5・12日号