年の瀬といえば「交響曲第九番」。毎年の締めくくりの定番となっているオーケストラだが、その実情は意外と知られていない。たとえば、年収。楽団員はその楽団からの給料をもらっているが、楽器ごとに格差はあるのだろうか。読売日本交響楽団(以降、読響)制作部主任の大久保広晴さんが解説する。
「例えばバイオリンは出番が多いからギャラが高く、フルートは出番が少ないから安い、というわけではなく、どの楽器も基本的にみな同じです。これは古くからの欧州の考え方を受け継いだ形だといえます。楽器による差はありませんが、その人の能力やキャリアによって、金額は変わります」(大久保さん)
また、指揮者やソリスト、コンサートマスターは別格で、人によって大きな差があるのだそう。
日本のプロオーケストラの楽団員の平均収入は一般的に400万~500万円と意外に低く、個人レッスンを行うなどオケ以外の仕事をしている人も多い。読響クラスでは平均750万~800万円ほどとなるそうだ。
そして、オーケストラにも当然、定年はある。
「読響の場合は、60才です。基本的に年金も出ますよ」(大久保さん)
60才以上はエルダー楽員となる再雇用制度があり、人によって活動が異なり、指導に当たったり、小学生など学生に向けたコンサートなどで活躍する人もいる。
※女性セブン2017年1月5・12日号