プロの投資家も注目する金融情報サイト「闇株新聞」。2011年のオリンパスによる損失隠し問題をスッパ抜いて注目を集めたが、同サイトの取材から記事執筆までをたった1人で行なう主宰者のA氏は金融緩和と企業の過剰設備による金余りで2017年は株式市場にバブルが発生すると予言する。
こうした状況でバブル発生の「トリガー(引き金)」となったのが、昨年11月の米大統領選だった。A氏が指摘する。
「誰もがトランプ氏の勝利で株価が大暴落すると予想したが、実際には彼の自国の利益をひたすら優先する経済方針が評価され、株価は反転しました。トランプ氏の当選をきっかけに市場の雰囲気が一斉に変わり、『悪材料には鈍感、好材料は拡大解釈』というトレンドが生まれて、積み上がった余剰資金が一挙に株式市場に向かっています。
バブルは合理的に説明できるものではなく、企業や市場関係者の心理がどう変わるかが大事。それゆえ、潮目の変わった今年は『バブル元年』なのです」
一方、今年はオランダ総選挙やフランス大統領選、ドイツ総選挙など欧州を中心に政治的なイベントが多い。結果次第では、過熱する株式市場が冷や水を浴びせられる可能性も指摘されるが、A氏は「バブルは膨らみ続ける」と断言する。
「反グローバリズムが高まり、フランスで極右のルペン氏が大統領になるといった不安材料はあるが、すでに中国の元高や英国のEU離脱、誰も予測できなかったトランプ当選など、数々のイベントを世界経済は乗り越えています。いったん株価は下がっても、その後持ち直している。不測の事態への“耐性”がついているのです。
このことから今後、何があっても大きく株価が落ちるとは考えにくく、日経平均は2万4000円くらいまですんなり上がるのではないか。実体経済とは関係なく、バブルが膨らみ続けると考えられます」
A氏は、1980年代バブルの日経平均最高値を実質的に超えることも不可能ではないと指摘する。
「日経平均の史上最高値は1989年12月29日の3万8915円87銭です。当時とは銘柄数なども違い、単純な比較は難しいが、時価総額ベースで見れば現在の株価はすでに1980年代のバブル当時と比べて遜色ない。株価が2万5000円を突破したら、1989年の最高値と同じくらいの価値といえるでしょう」
まさに「バブルの再来」なのである。
※週刊ポスト2017年1月27日号