芸能

24時間テレビ裏のEテレ「笑いは地球を救う」放送の真意

障害者のための情報バラエティー『バリバラ』(番組HPより)

 かつては教養番組が豊富だったNHK教育テレビが、放送開始50年を機にNHK Eテレと名前を変えたと思ったら、今や、障害者と笑いを結びつけたり、人形劇でさまざまな業界の裏側を赤裸々に語ったり…と、挑戦的な番組の宝庫となっている。そして、いつしか“攻めのEテレ”と呼ぶ人が続出。

 では、今もっとも“攻めている”と注目を集める番組を紹介しよう。2012年に障害者のための情報バラエティーとして始まった『バリバラ』。放送5年目の今は、生きづらさを感じるマイノリティー(少数派)へと対象を広げ、みんなのためのバリアフリー・バラエティーとして、ゲイやレズビアンなどのセクシュアルマイノリティーなども取り上げる。この番組の魅力について、コラムニストのペリー荻野さんは次のように語る。

「『バリバラ』は、障害を持つ人々が、自分たちの意見を発信しているところがいいですね。 昨年起きた相模原での障害者施設殺傷事件の時も、ほかのニュース番組が取り上げないような彼らの本音が聞けて、とてもよかったです」(ペリーさん)

 これまで障害者を取り上げた番組には、“障害を持ちながらも頑張っている人たちを応援する”ドキュメンタリー番組が多かった。しかし、それだけでは障害を持つ人たちに響かないのではないかと、制作が始まったと、チーフ・プロデューサーの真野修一さんは説明する。

「障害者には女好きの人もいれば、笑いのセンスに長けた人もいます。そんなリアルな姿を伝える番組があってもいいのではないかと当時のスタッフたちが考えたのが、そもそものきっかけです」(真野さん、以下「」内同)

 取り上げるテーマも実践的。モテるテクニックを紹介したり、障害者の婚活パーティーに潜入したり。悲壮感もなければ、妙な泣かせの演出もない。そして、世間を騒然とさせたのが、昨年夏に放送された『笑いは地球を救う』をキャッチフレーズに掲げた回だ。

 出演者が黄色いTシャツを着て、『24時間テレビ』(日本テレビ系)の放送と同じ時間帯に、障害者と感動について、徹底討論を行ったのだ。

「挑戦状を叩きつけたとかいわれてますが、お祭りにのっただけです。テレビを見て障害者のことを考えるのは、あの番組が放送される時期ですからね」

 番組内では、障害者自らが「障害者の頑張っている姿をお涙ちょうだいの演出で映し出すのは、“感動ポルノ”」と批判する場面もあった。これに対してネットで、“よく言ってくれた”と賛同の声が多く上がったという。そして、番組の構成に関して、こだわり続けているのは、彼らの目線であり続けることだ。

「スタッフにも障害を持つ者がいます。出演者とは、いつも制作段階で、“当事者から見てポイントがずれていないか”“情報として役に立つか”など、議論しています。“吃音(きつおん)”の回では、“電話でうまく話せないため、変態と間違えられた”など、あるあるネタを川柳で笑い飛ばしました。視聴者のなかには、ドキッとされたかたもいるかもしれませんが、見て、考えるきっかけにしてもらえればと思っています」

※女性セブン2017年2月16日号

関連記事

トピックス

結婚を発表したマイファス・Hiroと山本舞香(Instagramより)
《マイファスHiroと山本舞香ゴールイン》2人が語った結婚の決め手と夫婦像「作ったご飯を笑えるほどたくさん食べてくれる」 結婚記念日は新妻のバースデー
NEWSポストセブン
カンボジア・プノンペンのアパートから押収された携帯電話など。2023年11月10日、埼玉県警大宮署(時事通信フォト)
《関東連合の元リーダーも逃亡か》「犯罪者の天国」と言われるカンボジア ワイロの相場は高騰、在住日本人詐欺師が日本人をターゲットにする構図も
自民党の総裁に選出された石破茂氏(写真/時事通信フォト)
石破茂首相誕生で女性天皇に関する議論が急加速か “ストッパー”だった麻生太郎氏は実権のない名誉職となり影響力低下 
女性セブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
「ほぼ丸出し」“過激ファッション”物議のビアンカ・センソリが「東京移住計画」ラッパーのカニエ・ウェストと銀座に出没、「街中ではやめてくれ」の指摘も
NEWSポストセブン
東北道・佐野サービスエリアの現在とは
《前代未聞のストライキから5年》激変した東北道・佐野SA「取り壊された店舗」名物「佐野らーめん」の現在、当時の元従業員が明かした39日間の舞台裏
NEWSポストセブン
井上ひさし作の“ほぼ一人芝居”に挑む内野聖陽
【密着】内野聖陽が挑戦する“ほぼ一人芝居”『芭蕉通夜舟』「難しい役であるうえ、逃げ場がない。緊張感は複数人でする芝居の比じゃないです」
週刊ポスト
9月末に給料が未払いとなり、職員が一斉退職するという事態になった足立区の住宅型有料老人ホーム。千葉県内などにもある関連施設でも同じような”未払い”が発生しているという
《見捨てられた老人ホーム》東京・足立区で「人手が回らず餓死者が…」「お風呂も入れられない」給与未払いに社長は雲隠れ…元職員が明かした“現場丸投げ運営”の実態
NEWSポストセブン
Snow Manの渡辺翔太と向井康二
《Snow Man渡辺翔太&向井康二》“なべこじコンビ”のサウナ帰り姿をキャッチ 肩を組んだり輪になって話したり“素”の時間を満喫 
女性セブン
田村家のお正月の風景。左・田村正和さん、右・田村亮さん
《『古畑任三郎』では今までにない自分を》俳優・田村正和さんの知られざる晩年「もうやりきった…」77才で他界した2人の兄を語る弟・田村亮
NEWSポストセブン
手越祐也が『イッテQ』復活
「ノーギャラでも出たい!」手越祐也『イッテQ』復活までの暗闘1600日 降板後も共演者たちとの交流は継続、宮川大輔は復帰を番組に掛け合っていたか
女性セブン
3月末で解散した尼神インター(時事通信フォト)
《解散して仕事減った》苦境打ち明けた「尼神インター」衝撃解散から半年の現在、美を追求する誠子と改名した渚の“距離感”
NEWSポストセブン
東京駅構内を歩くNumber_iの平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太
Number_iの平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太を東京駅でキャッチ 仙台公演から帰京、隠しきれぬオーラに黄色い歓声がこだま 
女性セブン