卓球界の異色の新女王が誕生した。1月22日、卓球・全日本選手権の女子シングルスで3連覇中の石川佳純(23)を破って優勝を果たしたのは16歳の平野美宇だった。
「相手のサーブに対していきなりスマッシュで返すという超攻撃型プレーで、石川は『何が起こったのかわからない』『私たちからするとありえない』と茫然とした様子でした」(スポーツ紙記者)
周囲を驚かせたのは、その技術だけではない。無邪気な顔から出る“ぶっちゃけ”発言が、報道陣をどよめかせた。
「好感度アップのために頑張っていたけど、試合に勝つのがスポーツ選手。嫌われてもいいと思った」
優勝後にそう語った平野は、翌日の会見では(日本オリンピック委員会の強化選手からなる)エリートアカデミーのチームメートから祝福されたのかと尋ねられると、
「ライバルでもあるのでそんなにおめでとうとは思っていないと思うけど。“口だけのおめでとう”ですね」
と、毒舌発言で報道陣を笑わせた。これまで女子卓球界では、福原愛(28)、石川、伊藤美誠(16)の五輪銅メダリストが揃って優等生タイプばかりだったため、よりいっそう平野のキャラが際立っている。
「全日本の優勝直後のインタビューでは興奮冷めやらぬ様子で『中国人に勝ちたい』と、“選手”をつけずに話すので周囲をひやりとさせていました。もっとも見出しになる発言が続出するので報道陣も面白がっています」(全国紙の卓球担当記者)
3歳から母が指導する教室で卓球を始めた平野は、幼いころから「愛ちゃん2世」としてテレビ番組が取り上げてきた。昨年のリオ五輪は代表入りを逃し、サポートメンバーとして参加した。
「当時15歳ながら団体銅メダルに貢献した同学年の伊藤が注目を集める陰で、平野は五輪会場で報道陣の前にはほとんど顔を見せませんでした。悔しさをかみしめていたようで、平野はそれをバネに急成長したのです」(ノンフィクションライター・柳川悠二氏)
平野は伊藤と「みうみまペア」としてダブルスを組んできたが、5月末開催の「世界卓球2017ドイツ」では石川と組むことが発表された。
1月28日に行なわれたイベントに、平野は元パートナーの伊藤と一緒に出席。「ペアを解消して寂しいか」と記者に聞かれると、伊藤が「仲間なので励まし合って頑張りたい」と答えたのに対し、平野はこう言い放った。
「部屋とかも同じにならないので、まあ今までより仲良くしなくていいかな」
想像以上の大物かもしれない。
※週刊ポスト2017年2月17日号