インターネット、スマートフォンの普及は、日々の生活を大きく変容させた。SNSやメールはコミュニケーションツールとして重要な位置を占めているし、ネットニュースやウィキペディアが情報入手のメインという人も多いだろう。しかしビートたけし氏は、著書『テレビじゃ言えない』(小学館新書)の中で、過度なネットへの依存は諸刃の剣だと指摘する。
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オイラも、実はスマホを使わないワケじゃない。カメラ代わりに写真を撮ったり、思いついたネタやアイディアをメモしたりすることもある。だけど、アレに一日中かじりついてるってのは正気じゃない。本当に大事にしなきゃいけない自分の時間を奪われてるってことに気がつかなきゃいけない。
「女子高生が1日7時間スマホをやってる」なんて調査もあった。その代わり、本や雑誌を読まなくなったし、テレビも見なくなったと言われてる。
コミュニケーションやエンターテインメントのツールとしてスマホが役に立ってるのは認めるけど、かといって「ネットで調べればいいから知識はいらない。要はネットを使いこなす頭脳だ」みたいな風潮は絶対おかしいね。
映画を作ったり、芸術作品を作ったりするときには、かなり専門的で深い知識と理解が求められることがある。だからオイラも調べ物をすることがある。だけど、そんな時にネットで調べても、本当に知りたいと思う情報はほとんど出てこない。適当に聞きかじった噂や、間違った情報は論外。正しい情報だとしても、ネットで見つかるのはどこかの雑誌や新聞の引用、いわゆる又聞きばかりで、その「奥」まで到達しない。本当の意味で「調べる」ということは、専門書を読んだり、その道の権威に話を聞いたりして、「ネットに出ていないくらい深い内容を掘り下げること」なんだよ。
「ネットがあれば何でもできる」と思ってる世代は、「世の中にはネットに書かれていないもっと深い世界がある」ということに思いが至らない。それが弱点なんだよ。そのことに気づいていればいいんだけど、そうじゃない気がするね。
※ビートたけし/著『テレビじゃ言えない』(小学館新書)より