〈ホンダのネット広告がネオナチ(ネオ・ナチズム)支援団体の動画に掲載〉
〈日産ディーラーの広告はレイプ妄想掲示板と極右団体動画に表示〉
〈ソニーは“反ユダヤ主義”を訴える人種差別系動画に広告掲載〉
日本企業も巻き込む形で、英国で今、ネット広告が“大炎上”している。
きっかけは2月9日、英紙タイムズが始めたキャンペーン記事だ。冒頭の日本企業以外にも独自動車大手メルセデス・ベンツや米娯楽大手ウォルト・ディズニーなどのネット広告が、ネオナチなどの極右団体やイスラム国(IS)支援団体の動画、レイプや子供への性的虐待を窺わせる掲示板内に掲載されていることを問題視した記事だ。
衝撃的な報道内容に英国議会も調査に乗り出すなど、国を揺るがす大問題へと発展しつつあるのだ。元産経新聞ロンドン支局長で英国在住のジャーナリスト・木村正人氏が話す。
「英国ではテロ組織の関連団体などに資金提供するのは違法行為に当たります。捜査対象になる可能性があるばかりか、“反社会的組織のスポンサー”とのレッテルを貼られれば企業のブランドイメージは地に堕ち、不買運動に発展しかねない。
記事で名指しされた英自動車メーカー『ジャガー・ランドローバー』や英旅行会社『サンダルリゾート』などが報道後、ただちにネット広告への出稿を停止したのはそのためです。他の企業も対応に追われるなか、欧米以外では唯一名前の挙がっている日本企業の対応にも注目が集まっています」
日本企業はどうしたか。
本誌取材に、ソニーは「(指摘された広告については)すぐに削除依頼を行ない、現在は表示されなくなっているとの認識です」(広報・CSR部)と話し、日産は「現地ディーラーに即時広告の取り下げを指示するとともに、今回の経緯の説明を要求しています」(広報部)と回答。ホンダも「これは英国現地ディーラーが出した広告だと確認しましたが、対応済みとのことです」(広報部)と答えた。
※週刊ポスト2017年3月3日号