2018年の韓国・平昌五輪の舞台となるリンクでメダル候補に躍り出たのは、まだ17歳の三原舞依だ。2月18日のフィギュアスケート四大陸選手権で、初出場ながら世界の強豪を抑えて優勝した。初出場・初優勝は2008年の浅田真央(26)以来の快挙だった。
だが、この“新ヒロイン誕生”にも世間はイマイチ盛り上がっていない。優勝翌日のスポーツ紙でも1面で報じたのはわずか1紙(スポニチ)のみ。その理由は「浅田真央」にあるとスポーツ紙フィギュア担当記者が話す。
「まだ日本国民にとって女子フィギュアといえば、“真央ちゃん”が最高のアイドルなのです。彼女の存在が大きすぎて、他の選手に大きな関心が集まらない」
三原は全身の関節が痛む「若年性特発性関節炎」という難病を抱えている。そのために昨シーズン後半は半年間の療養を余儀なくされた。現在も通院が欠かせず、薬を飲みながら練習に励んでいるという。
「病気を言い訳にしない」と語って試合に挑む彼女の健気さに声援を送るファンも多い。そんなシンデレラストーリーを持つ彼女ですら浅田の前ではかすんでしまうのだ。
四大陸選手権の視聴率もそれを物語っている。浅田が出場して優勝した2013年は、女子フリーで16.3%の高視聴率を叩き出したが、浅田不在の今大会は9.5%と低迷した。フィギュアに詳しいジャーナリストの青柳雄介氏が語る。
「真央ちゃんは15歳の頃から“国民の娘”として期待に応え続けてきた。いまは長らく続く不調に苦しんでいて、今回の四大陸選手権にも出場できないほど成績も奮わない。しかしそれでもファンの多くは心のどこかで真央ちゃんの復活を信じているのです。だから三原以外にも、日本選手権で勝った宮原知子(18)など期待の若手が出てきても、他の選手には“浮気”できない。現状では平昌五輪出場は現実的ではありませんが、“真央ちゃんなら”と奇跡を信じているファンは多いんです」
浅田が現役のうちは、「ポスト真央」は現われないのかもしれない。
※週刊ポスト2017年3月10日号