「絶対ホテル直行やん」
「泊まりとかなっても、ヒャクパー(100%)せぇへん」
「包茎、臭いから?」
──関西弁の若い女性2人による、ちょっと赤裸々すぎる下ネタトーク。これが大手不動産情報サイト「SUUMO」(関西版)にアップされた物件紹介動画の音声なのだから、穏やかではない。
動画は、大阪府豊中市にある何の変哲もない3階建て一軒家を紹介したもの。廊下、洗面所、室内の収納などを1階から順に映していき、見た人はネット上で物件を“内覧”できるサービスだ。
下ネタトークの音声は、スマホで内覧動画を撮影していた女性スタッフが、同時並行でスピーカー機能を使って友人女性と電話をしていたために拾われたものと思われる。最初は実家を出るか出ないかといった穏当な会話なのだが、2階の畳部屋に入るあたりから内容はエスカレート。動画を撮影中の女性が「男見つけたらいいやん」「絶対ホテル直行やん。爆発やな」と盛り上げ、挙げ句は冒頭のように電話相手の女性の高校の先輩男性が「包茎」であることにまで話題は及んだ。
思わぬかたちで流出した“女子のホンネ”は、ネット上で「包茎臭い動画」として拡散され、大炎上。なぜこんなことになったのか。
実はこの内覧動画サービスは各地の不動産会社がSUUMOから枠を買ってアップするもの。今回の動画を撮影していたのはSUUMOのスタッフではなく、大阪府吹田市の不動産会社D社の社員だった。D社を直撃すると、
「音声はうちの社員の声で、アップする際の消し忘れです。申し訳ありません。本人もショックなのか今日は会社を休んでおりまして……」
と平謝り。炎上を受け、3月6日に動画はHPから削除された。SUUMOを運営するリクルート住まいカンパニー広報担当の説明。
「動画は公序良俗に反しないものと取り決めているが、500万件以上ある物件動画をすべて人力でチェックするのは難しいのが現状」
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏はこういう。
「リクルート側にも、物件を売りたい不動産屋のつくる動画だからおかしなものはないだろうという油断があったのでしょう。まあ、まさか包茎の話をアップする不動産屋が出てくるとは誰も考えつきませんからね(苦笑)」
一番の被害者は、思わぬかたちで“事故物件”となってしまった動画に出てくる一軒家の持ち主か。
※週刊ポスト2017年3月24・31日号