その昔、テレビが「エンターテインメントの王様」だった頃、女性の裸体や過激な下ネタが世の男性たちを楽しませてくれた。今ではコンプライアンスと自主規制を前にセクシー番組は消滅した……などと言われるが、実はそんなことはない。セクシー番組はその姿を巧妙に変えて、しっかりと生き残っているのである。
現代のテレビにおける“セクシー表現の匠”の代表格が、『秘湯ロマン』(テレビ朝日)だ。タイトル通り、温泉の紹介番組で、放送時間のほとんどは女性レポーターの入浴シーンに費やされる。
「若手女優やタレントが全裸にバスタオルを1枚巻いただけの姿で入浴するのですが、そのカメラワークが秀逸なんです。湯船の中の足を舐めるようにゆっくり映したり、お湯をすくって感触を確かめているはずなのに、なぜかピントはバスタオルからこぼれる胸の谷間に合っていたり。ファンの間では“これはセクシー動画だ”と称賛されています」(テレビ解説者の木村隆志氏)
同じテレ朝では『全力坂』も見逃せない。グラビアアイドルや女性タレントが普通の服を着て、ただ坂を全力で走るだけなのだが……。
「スタートから坂の上に着くまでの間、Tシャツ越しにオッパイが揺れる様子や、後ろからのお尻や太腿をなぞるカットに目が釘付けです。登りきった女の子が汗をかきながらハァハァと言う姿に、“アレの後”を想像してしまう」(同前)
直接的でなく、妄想を掻き立てるエロスが、当世セクシー番組の“テクニック”なのだ。
※週刊ポスト2017年4月7日号