戦隊ヒーロー出身の俳優たちの活躍が注目を集めている。菅田将暉(24才)、志尊淳(22才)、竹内涼真(24才)、他にも、千葉雄大(28才)、松本岳(24才)など、20代の若手俳優の多くがヒーロー経験者だ。そんなヒーロー出身俳優に元祖仮面ライダー藤岡弘、(71才)はこう語る。
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何事も初めてっていうのは苦難がつきものだけど、『仮面ライダー』(1971年)は、誰もヒットするなんて予想していなかったですよ。
だから撮影も工事現場みたいなところを使って、満足に揃わない機材で始まったんです。予算もないからスタントマンもいなくて、すべて自らやらざるを得ない状況でした。仮面をかぶると視野が狭くなって、遠近感がなくなる。
その状態で高いところから飛び降りたり、崖っぷちを二輪車で走ったりするのでけがも絶えなかった。新境地を求め、すべてにハングリーな状況のなか、オーディションでやっと得た役ですから、逃したくない。命をかけ、必死でした。
実際バイクがスリップし数十メートル吹き飛ばされてしまって生死をさまよったこともありました。1年間の戦線離脱の間は、ぼくがショッカー退治のためヨーロッパに行った設定となり、仮面ライダー2号・佐々木剛くん(70才)が登場してくれた。その時、バイクに乗れない佐々木くんによって変身ポーズが生まれ、ぼくが復帰した時は、1号と2号がダブルライダーとして揃って、最高視聴率をマークしたわけで。全部“災い転じて福となす”なんです(笑い)。
ノースタントを貫いたのはぼく自身、幼少期に鞍馬天狗を見て感動した原体験があったから。子供の番組だからといってばかにしちゃいけません。
子供こそが未来をつくる“宝”。子供は純粋ですから、その時の感動を一生持って生きていきます。だからそのカギを握るヒーローも一生かけて背負っていくべきだと思います。
ぼくの時代と今の時代は違うから押しつけるつもりはない。でも、私は今も己磨きの旅の途中。まだまだ未熟者なので、これからがぼくの俳優としての真価が問われるなと思っています。
撮影/関谷知幸
※女性セブン2017年6月1日号