サルコイドーシスとは目、肺、心臓や皮膚など全身に肉芽腫(にくがしゅ)ができる病気だ。自然治癒が多いが、心臓の場合は難治になりやすく、心不全で命を落とすこともある。完全房室ブロックで、ペースメーカー留置の中高年女性の中には、この病気が隠れていることもあり、十分な検査が必要だ。治療はステロイドが第一選択だが、他の免疫抑制剤併用で効果を上げている症例もある。
サルコイドーシスは、抗酸菌(結核菌の仲間)が原因であるといわれていたが、近年の日本の研究でニキビの原因菌に発症の可能性があると報告された。この病気は100年以上前のイギリスで、皮膚の病気として発見された。その後の研究で肉芽腫(異物や結核菌などを封じ込める生体の防御反応)が、目や心肺、リンパ節など全身にできる病気だということがわかってきた。
佐久医療センター副院長で、循環器内科の矢崎善一部長に話を聞いた。
「サルコイドーシスは、地域や民族によって発生率や重症度に差があります。ヨーロッパは北欧に患者が多く、アメリカでは白人に比べ黒人が多く発症します。通常は皮膚や肺などに発症することが多いのですが、日本人は心臓病変の頻度が高くなるという特徴があります」
サルコイドーシスの心臓病変は、大きく分けて2種類ある。1つは電気系統が侵されて不整脈を起こす場合と、心臓を収縮させる筋肉が障害されるケースだ。これらの症状の他に倦怠感、息切れ、胸痛・関節痛などの痛み、発熱など全身症状を伴うこともある。50~60代の女性で、完全房室ブロックと診断され、ペースメーカーを入れている人の中には、サルコイドーシスが原因になっていることに気づかない症例があり、細かい検査をする必要がある。