飼い主がはっきりとしない動物を見つけて家に連れて帰り、「飼いたい」と親にねだるのは“子どもあるある”だが、実際に拾った犬を飼っていたところ、犬の飼い主が現れた場合、返さなければいけないか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
小学生の娘が迷い犬を拾ってきました。愛嬌があり、娘も懇願するので飼うことにしました。それが2か月後、その犬の飼い主だという人が現われ、返してほしいといってきたのです。でも、2か月も飼っていますし、情も移っているので手放したくありません。それでも戻さなければいけないでしょうか。
【回答】
迷い犬とは、どこかに飼い主がいる犬ということですね。犬は法律上、物であり動産です。飼い主がいる迷い犬など逃げ出した動物は、一種の遺失物であり、拾った娘さんは落とし物の拾得者になります。
遺失物には、民法の特別法である遺失物法が適用され、拾得者は遺失物を警察署に届け出る義務があります。結果、迷い犬は警察が保護します。しかしながら、遺失物が犬と猫の場合は、市町村が委託している動物保護団体に届け出れば、警察署へ届け出る義務はなくなります。
ところで警察署に遺失物として届け出ると、その掲示板に迷い犬保護が公告されます。民法では、この公告後3か月経過して遺失物の持ち主が判明しなかったときには拾得者が、その所有権を取得することになっています。