10月22日投開票される総選挙において、小池百合子・東京都知事による「リセット」の効果が最も劇的に現われるのが首都・東京である。何より、今の東京の有権者には、7月の都議選で都民ファーストの会が圧勝し、自民党が歴史的惨敗を喫したことによって、自らの一票で「安倍・自民にお灸を据えた」という“成功体験”の記憶が生々しく残っている。
小池氏は選挙戦の初っ端で「希望の党」代表就任発表を安倍晋三首相の解散発表会見の日にぶつけ、さらに民進党を事実上“吸収”したことで、ワイドショーの話題を独占。「自ら陣頭指揮を執って重点選挙区には新鮮味のある女性候補を次々と擁立する」(希望の党関係者)という筋立てだ。
もともと東京は無党派層が多く、「風」に左右されやすい。自民党が民主党に政権を明け渡した2009年総選挙では、小選挙区で勝ち残った自民候補はわずか4人。民主が21議席を獲得した。さらに今回は、2009年の逆風下でも勝ち残った4人、元都連会長の石原伸晃氏(8区)、前都連会長の下村博文氏(11区)、平沢勝栄氏(17区)、井上信治氏(25区)らの地盤とて安泰ではない。都政担当記者が解説する。
「平沢氏の17区には葛飾区と江戸川区の一部が入るが、都議選では葛飾区の自民候補が4万票だったのに対し、小池氏率いる都民ファーストの候補は5万票。江戸川区では自民6万5000票に対して都民ファ10万5000票と2倍近い差だった。
ほとんどの都民ファ候補は実績も知名度もなかったが、小池氏が号令をかけたことで都内全域で自民党の“地盤崩壊”が起きた。次の総選挙では、石原ファミリー長男の伸晃氏や、加計学園問題でフォーカスされた下村氏に対しても、小池氏が得意の刺客戦術に打って出るでしょう。候補のタマ次第では、自民の牙城だった選挙区も勝てる保証などどこにもない」
※週刊ポスト2017年10月13・20日号