野党第一党が時の政権批判の受け皿にならないことは大きな罪だ──。かつて「民主党7奉行」と呼ばれた政治家たちがいた。岡田克也氏、前原誠司氏、野田佳彦氏、枝野幸男氏、玄葉光一郎氏、安住淳氏、樽床伸二氏だ。
いずれも民主党政権で大臣や党の要職を歴任し、国民裏切りの消費増税で政権交代への期待を粉々に打ち砕き、自民党の政権復帰に手を貸した政治家たちである。政治ジャーナリストの野上忠興氏がいう。
「安倍政権は過去2回の総選挙で300議席近くを獲得したが、自民党の得票は民主党政権ができた2009年の総選挙から大きく減っています。安倍政権に対する期待ではなく、有権者が棄権し、投票率がどんどん下がっていることが結果的に自民の議席を増やしたに過ぎない。
その責任は7奉行をはじめとする民主党の幹部たちにある。野田政権が2012年の解散総選挙に大敗した後も、この党はメリーゴーランド人事と言われたように岡田代表→蓮舫・代表(野田幹事長)→前原代表という具合に国民の信頼を失った7奉行らの幹部たちが交互に党の要職に居座り、人心一新を図らなかった。これで多くの有権者は“安倍政権には反対だが、民主党はもっと嫌だ”と投票を棄権した。野党への期待をどんどん潰して国民の選択肢を奪った責任は重い」
野党第一党に選挙で期待が集まらなければ、安倍晋三首相には恐いものがない。政権は驕り、強権的となり、忖度政治がはびこっても、有権者は「安倍NO」の1票を行使する受け皿がないことになる。それは民進党を内部から改革できずに出ていった細野豪志氏らの責任でもある。
「その7奉行たちが民進党解党に動いて小池新党(希望の党)との合流に動くのは非常にみっともない。他力本願でしか選挙を戦えないということをはっきり示した」(民進党若手議員)
枝野氏は希望の党に合流しない候補者らを中心に新党「立憲民主党」を結成すると発表し、野田氏は「無所属で戦う」ことを明言したが、その一方で元民主党幹部の中にも希望の党に合流する人物は少なくない。彼らが小池新党で権力を振りかざし大きな顔をするなら、それは“第2民進党”と変わらない。やはり退場してもらう必要がある。
※週刊ポスト2017年10月13・20日号