10月5日、衆院総選挙の公示を間近に控え、日本中が「小池劇場」に目を奪われていた最中、都議会では「子どもを受動喫煙から守る条例」が可決、成立した。十分な議論が尽くされたとはとてもいい難いが、家庭など私的な空間にまで踏み込む規制は、今後どんな影響を生むのか。ジャーナリストの入江一氏が解説する。
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今回は十分な議論を尽くさず、都議選の勢いそのままに「数の論理」で押し切ってしまった。そして、都ではこれを足がかりに、飲食店などを原則禁煙とする「受動喫煙防止条例案」の提出も進めようとしている。
その柱は30平方メートル以下のバーやスナックなどを除き、飲食店や宿泊施設などは原則屋内禁煙(喫煙専用室は設置可)とするもので、国(厚生労働省)が今年3月に示した受動喫煙防止法案(健康増進法改正案)とほぼ同じ内容だ。ただ国政では自民党との調整がつかず、先の通常国会で提出が見送られたことから、「国ができないなら都が先行する」と小池百合子都知事の肝煎りで進められている政策である。
しかし、すでに各飲食店の自主的な取り組みで分煙が進んでいる中で、新たに屋内禁煙の条例を制定することには疑問の声が上がっている。こでもまた、数で押し切るようなら、本来求められていたものとはかけ離れた「過剰な規制」が広まることが懸念される。
話を「家庭内」の規制に戻そう。今後は各自治体が東京都に続けとばかりに独自の条例を次々と打ち出すような広がりも想定される。全国各地で「家庭内禁煙」の条例化を検討する自治体が増えても不思議ではない。