10月の衆院選に無所属で出馬し当選した山尾志桜里議員(43才)と、加計学園問題について菅官房長官にしつこく質問を繰り返した東京新聞の望月衣塑子記者(42才)は、東京学芸大学附属大泉中、東京学芸大学付属高の先輩・後輩にあたる。そんな2人が、緊急対談を行った。
〈安倍晋三首相(63才)の知人に、不当な便宜が図られた疑惑のある森友学園・加計学園問題、いわゆる“モリカケ問題”。渦中の6月8日に行われた菅義偉官房長官の記者会見に出席した望月記者は23回もの質問をぶつけた。それまでの“シャンシャン会見”をぶち壊すスタイルは賛否両論を巻き起こす〉
望月:あれから約半年、選挙で安倍自民党が勝ちましたが、国民がモリカケ問題を簡単に忘れるわけはありません。政府は14日、加計学園の獣医学部新設を許可しました。でも、政府からは獣医学部新設に必要な閣議決定した4条件をどう満たしているかの具体的説明はありません。かなり強引な進め方です。
山尾:今年10月の衆議院解散は完全に“モリカケ隠し”でした。安倍首相は『今後、丁寧な説明をする』と言いますが、今までと同様、木で鼻を括ったような説明が繰り返されるだけでしょうね。望月さんは記者会見で菅官房長官に食い下がって質問しています。でも、官房長官は答えにくかったり、気に入らない質問は、枝葉末節の部分や言葉尻に難癖をつけて、なかなか質問に答えようとせずに時間を稼ぎます。それは安倍首相もまったく同じです。
望月:私は会見に出席する記者たちにも責任の一端があるように感じているんです。ごく一部の記者以外は“政府とけんかしたくない”と全身のオーラで漂わせています。私が菅さんとガシガシやり合い始めると、多くはひたすら下を向いて、“何でお前は空気を読まないんだ”という無言のプレッシャーを醸し出しているように思える時もあります(苦笑)。彼らは番記者なので、菅さんと親しくして情報を取ることが政治部記者としての“命題”なので、“機嫌を損ねたら面倒”と思う気持ちもわからないこともないのですが…。
山尾:政府にとって最もイヤなのは、望月さんみたいに“空気を読まずに空気を変える質問者”が出てくること。私が検事だった頃、取り調べの担当検事が女性だとわかるとヤクザが露骨にイヤな顔をしました。つまり、“男性検事なら場の空気を読んで、阿吽の呼吸で落としどころを見つけられるのに、女性検事はハッキリ白黒つけたがるから面倒だ”ということなんです。国会の討論の場でも、官房長官会見でも、男性同士特有の“追及はこの程度にして、この場を丸く収めよう”という空気感は、変えていかないといけない。
※女性セブン2017年11月30日・12月7日号