11月7日の各紙朝刊で、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』が100万部を突破したと報じられた。1年にわたって佐藤さんが女性セブンに連載したエッセイをまとめ、昨年8月に刊行してから1年2か月あまり。実に22刷を重ねての快挙だ。
本誌・女性セブンでは、本書がベストセラーになったことについて、佐藤さんの「本が売れた、売れたって、何がめでたい」「そんなの、読者に訊いてくださいよ」などのコメントを何度も掲載してきたが、果たして今回は──共同通信が配信した〈佐藤愛子さんの本が百万部 「元気が出る」と共感〉には、佐藤さんのこんなコメントが載った。
〈「ありがたい話ではあるが、そもそも私は本がどれだけ売れるかということにあまり関心がない」〉
〈「今の人たちは率直でなくなっているので、私のように言いたい放題言うのが現れたから、珍しく感じたのでしょうか。変な時代ですね」〉
この「変な時代」について、出版科学研究所の研究員・久保雅暖さんはこう分析する。
「ここ数年、例えば篠田桃紅さんの『一〇三歳になってわかったこと』や渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』など、シニア層の人が生き方を説いたり、若い人たちを叱った本がベストセラーになるトレンドはありました。その意味で、本書のヒットの要因にも、佐藤さんに『叱られたい』という人々の欲求が根底にはあるのかもしれません。内容的にも一時のブームではなく、これからも長く売れ続けるような気がしています」
現在はさらに版を重ねて105万部に。叱られたい人はもちろん元気になりたい人も、ぜひ手にとって、ベストセラーの理由を実感してほしい。
※女性セブン2017年11月30日・12月7日号